お客様は神様です
三波春夫が「お客様は神様です」をキャッチフレーズにしたために、この言葉がこの世の真理になってしまった。「この世」は言い過ぎだとしても、少なくともこの日本の真理の言葉になってしまった。これがどれだけ日本人の精神を損なってしまったのか、三波春夫はあの世で反省してほしい。「お客様は神様です」といっても三波春夫にクレームをつける客はいない。そもそも三波春夫が嫌いな人は三波春夫の客ではない。そういうときの「お客様は神様です」は心構えとして通用する。
しかし、いま日本国中に「神様になった(と勘違いした)お客」が蔓延している。当たり前のことだが、サービスや商品を提供する側とそれを受ける側とは対等である。そこに上下関係はない。
それなのに「お客様は神様です」という価値観は、金を払う側と受け取る側の間に上下関係を作り出してしまった。
世の中は何でも平等である。価値の違うものにさえ平等主義を持ち出したり、機会の平等ではなく結果の平等を持ち出してひとの向上意欲をスポイルしたりしていて多くの人がうんざりしている。
そのおかしな平等主義の世の中に「お客様は神様です」という言葉は風穴を開けたようなところがあった。この言葉はジョークとして受け入れられて、泣き寝入りをしないための魔法の呪文になったところもあった。
しかしその魔法の言葉には呪いが込められていたのだ。
一度染みついた世界観は、それがなかった時代には戻れない。この呪いが解けるのはいつのことになるのだろう。デフレの時代を脱却するまでは少なくとも呪いは続くだろう。
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