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2012年2月 5日 (日)

中国ウオッチ・中国語はロジックに欠ける?

 中国で科学技術関係のノーベル賞の受賞者がいないことについて、中国の教育心理学の専門家が「母国語である中国語がロジカルでないからだ」との見解を述べた。
 中国語には同音異義の言葉が多いことや、「救火」が火を消すという意味だったり、「吃食」が食堂で食べるという意味になるなど、ロジックに反するものがあることを挙げている。このように漢語を母国語とする人間はロジカル思考が不足するのだそうだ。
 科学技術分野の発明、発見には極めてロジカルな思考能力が必要なので、中国人はハンディがあると言いたいのだろう。
 こんなことは論証不能の意見なので言いたい放題だ。
 
 だから私もその理由について意見を言おう。中国は長いあいだ文化系の知識を持つものが価値があるとされてきた。それについて武、すなわち軍人、次いで商人、農民、最下層に職人という位置づけであった。工学的な知識は低く見られてきた。20世紀の初め、清王朝が瓦解してから、西洋の技術を受け入れるべき時にも日本のようにすみやかに行かなかったのは、そういう精神的な意識があったからだろう。これが列強の浸食を受けてしまった隠れた理由のひとつでもあるとさえ思う。
 その後日本との戦争のあと、社会主義国家として再生したとき、たいへんな間違いを犯した。漢字を簡体字に統一したことである。漢字は世界でも極めて珍しい表意文字である。漢字は確かに身につけるための労力はアルファベットなどよりはるかにたいへんだ。だが、アルファベットのような表音文字の場合はすべての単語のスペルを覚えるという作業が必要なのだから必ずしも楽なわけではない。識字率の低い国民の識字率を上げるために簡体字を導入したことで、漢字はほとんど表音文字になってしまった。そのためにほとんどの国民は過去の中国の文献を読むことが出来ない。遙かな昔のものではなく、戦前のものが読めないのだ。 少し脇道にそれすぎた。表意文字を理解し、駆使するという作業は極めて高度な知的能力を必要とする。そのチャンスを中国は自ら捨ててしまったのだ。
 さらに文化大革命という暴挙があった。すべての文化を否定するという名の下に、積み上げられた文化(科学も含めて)を全否定してしまったのだ。このために失われた文物と時間と精神的なものは大きい。
 これらのすべてが総合して中国は世界から立ち後れたのだ。
しかし、中国語の強みもある。中国語の語形は西洋と類似している。だから英語の習得は日本人より容易だと言われている。文化大革命以後、激しい競争にもまれて台頭してきたテクノクラートたちは海外に留学して英語を自在に操り、過去の偏見を全く持たない。
 だから彼らが育ってきた今、中国はノーベル賞予備軍をたくさん抱えているはずだ。たぶん遠からず中国はノーベル賞受賞者をたくさん輩出することになると思う、豊かなロジックを駆使して。

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