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2012年2月 8日 (水)

「清末見聞録(清国文明記より)」・北京近郊の名勝・白雲観①

 白雲観は北京西便門外にあり、元の邱処機(きゅうしょき・人名)すなわち長春真人の開基で、道教では最も重要な霊場の一つである。邱処機は不世出の豪傑で、あの有名な元の世祖クビライの尊信を得て、政治上にもその手腕を振るったことは、あたかも天海和尚と徳川家康の関係のようなものである。そしてその開基した白雲観は北方道教の随一となった。その遺風は今も残り、中には道士が数百人いる。
 正月元日から二十日まではこの白雲観の開廟である。常駐の士女が訪れて賽銭を上げるものが多く、車馬が絶え間なくやってくる。特に十八日は会神仙といい、この夜は往々神仙に会うことがある。もし幸いに神仙に会えれば、発財(フアツァイ)つまり金満家になるという迷信がある。それでこの夜は参詣のものは皆徹夜で万一の僥倖に出会わんとする。開ければ十九日、すなわち長春真人の生まれた日で、これを燕九節(えんきゅうせつ)という。この十八、十九の両日は参詣者は平常の倍もいて観内は身動きできないほどの騒ぎである。私もあわよくば神仙に会いたいと思って、小林、矢野両君と白雲観に詣でた。
 順治門を出て城壁沿いに西に行き、西便門を出てさらに西に行くこと数町で白雲観に到着する。観の付近の空き地には数百輛の馬車を置き、乗ってきた馬は付近の樹木につなぎ、あるいは十二三歳の子供一人で、五、六匹ずつを一所に引いて散歩をさせている。これらは皆城中の士女の乗ってきたものである。またあちこちに攤子(タンツ)すなわち露店を出して元宵餅(ユワンシャオピン)、糖葫蘆(タンフロ・葫蘆という小さい果実に蜜をかけたもの)その他飲食物および玩具等を売っている。また覗き眼鏡があり、節(ふし)面白く唱いながら見物人の興を引いている。

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