中国ウオッチ・毒餃子
中国の全国人民代表会議の分科会に出席中の中国の高等裁判所に当たる河北省の人民法院(毒餃子事件の審理担当)の院長に、事件のその後について読売新聞が取材した。
2008年に日本人10人が被害に遭ったこの事件では、当初日本で毒物が混入されたことが明らかであり、中国での調査でも中国側には断じて問題がないと中国側は強弁していたが、その後突然中国人の犯人が逮捕された。起訴された犯人の裁判が不思議なことに未だに開かれていないのだ。取材はもちろんその理由と、いつ開廷するのかその見通しについての質問であった。
これに対して院長は「事件はすでに解決した」と答えた上で、逮捕から一年半も開廷しない理由を明らかにしなかった。関係筋からは日本側から提供されている捜査資料の翻訳に時間がかかっている、との言い訳が非公式に伝えられている。これは答えになっていない。
ところで日本側に一方的に原因を求めて、日本側の論理的な言い分は歯牙にもかけなかったことについて中国側からの謝罪は全くない。言いがかりはつけたが、自分に非があって引っ込みがつかなくなったらうやむやにする、という態度は最低であり、恥知らずである。
またこの事件の犯人についてもどうも釈然としない点がある。どのようにして犯行に及んだのかがどうも信じがたいのだ。犯意もわかりにくいし、あれだけ衛生面で徹底していた工場に単独で簡単に毒物を持ち込んだことなどが不思議なのだ。裁判が開かれなければ犯人の素顔や動機も本当のところは明らかにされない。どうも中国側は明らかにしたくないようである。
明らかにされないのなら勝手な憶測も許されるであろう。犯人はたぶんこの食品会社の競争会社にそそのかされてしかも単独でなく何らかの共犯者とともに犯行に及んだとみる。その毒物入りの食品による被害が日本で発生したことで日本から調査の依頼が中国にあったとき、中国は何の調査もせずに日本の言いがかりとして国を挙げて処理してしまった。たぶんその直後に犯人もその理由も解明されたのであろう。これでは中国は世界的にみっともないことになってしまう。犯人をどこかに監禁した上で関係の会社にも口止めをした上でほとぼりが冷めるのを待ち、突然犯人が分かったと発表したと思われる。裁判で犯人が表に出てくればその辺の工作が明らかになってしまう。だから裁判を開くつもりはそもそもないだろう。そしてたぶん犯人は永遠に表に出てくることがないだろう。生きていてもすでに死んでいるとしても。この犯人自体も本当に犯人がどうかも私は疑っているのだが(犯人として名乗りを上げれば何らかの利益供与がある、とだまされたという疑いすらある)。
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