中国ウオッチ・死刑囚の臓器
中国では死後の臓器提供制度が確立しておらず、これまでの臓器の供給源はほぼ100%死刑囚であった。当局は原則的に死刑囚本人の意思を尊重していること。また遺体の引き取り手がないか、または遺族が引き取りを拒否した場合にかぎり臓器摘出を行っている、と主張しているが、世界的には、中国が死刑囚本人の意思を尊重しているなどとは信じられておらずずっと問題となっていた。
このたび中国衛生部は3~5年内に死刑囚からの臓器摘出を撤廃すると発表した。中国には臓器移植希望者が150万人いると言われるが、実際に移植手術を受けることができているのは年間1万人程度だという。今後国民一般からの臓器提供を募るシステムを構築することになるのだが、かなりの困難が予想される。
中国は死刑執行件数が突出して多い国であったが、内外の批判が多く、最近はその件数がかなり減少している。また死刑囚の中には保菌者も多く、移植後の生存率が他の国より低いという実情も今回の決定の背景にあったとみられる。
これでお金を大量に用意して中国に臓器移植に出かけてもなかなか移植が受けにくくなったようだ。ただ、需要のあるところ供給を生み出すドライブが懸かる。中国では今までも突然の失踪者の一部が内臓目的による奇禍だったという事件がいくつか報道されている。これがたぶん増加するであろう。休日の朝から不快な話で恐縮である。
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