中国ウオッチ・日本人の祖先
湖南省の湖南大学法学院院長の杜教授が、湖南から韓国や日本に移り住んだ人々が韓国人や日本人の先祖に当たる、という説を発表した。
史記・秦始皇本記に「秦の始皇帝が韓終、侯公、石生に仙人の不老不死の薬を求めさせた」との記述があるが、この中の韓終は清の時代に湖南省の岳麗山で修行した方士で、韓国人の祖先にあたるとしている。韓国に漢字が伝わった時代と韓終が朝鮮半島に渡った時期も符合するという。
また、漢代に入ると、呉氏長沙国王と劉氏長沙国王の家族とその子孫が大量に日本に移住し、日本国の形勢と日本文化の発展に重要な影響を与えたとしている。その後さらに湖南の法制度が聖徳太子の「十七条憲法」にも影響を与えたという。
この教授の言っていることはおおむね正しい。というよりすでに多くの人が論説していることで全く目新しいことではない。目新しいのは(これもさほど目新しくもないが)上記のことを根拠に日本人の先祖が湖南人である、としていることだ。
すでに学問的に検証されているように紀元前数万年前の石器時代から日本には人が住んでいた。そしてその起源はたぶん北方南方からのいろいろな種類の民族が混じり合ったものであるだろうことは現在常識である。その中に湖南からの人たちがいたこと、かなり大きな影響があったことは事実だろうが、だから日本人の先祖が湖南人、すなわち中国人であったというのは明らかな間違いだ。ましてや漢代となればはるかに後の時代の話である。
中国人は自国で歴史を作り上げる名人である。そして作った歴史を事実として認めることを強要し、認めないと歴史認識が間違っている、と強弁する。その伝で行くと、日本人の先祖は中国人なのだから日本人はそもそも中国人で有り、だから日本は中国領である、ということになるであろう。冗談ではなくしかも何の悪気もなく本気でそういう発想でものを考え、本来あるべき姿に正すための行動を起こそうとしている国が中国という国なのだ。
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