映画「紅いコーリャン」
あのチャン・イーモウの初監督作品。1987年製作の中国映画。原作は莫言(現代中国作家)の「紅高粱」。主演・コン・リー。
この作品は10年ほど前にビデオを借りて見た。チャン・イーモウの強烈な色彩と猥雑さが強く印象に残っていたが、今回見直してストーリーをはっきりと思い出した。
理屈以前の生物としての人間がエネルギーをむき出しにして絡み合う。こういう時代を中国人は生きぬいてきたのだ。
後半は日本軍の残虐さが強調されるシーンが続くが、あながち誇張されたものばかりでもないであろう。チャン・イーモウは新作の南京事件を扱った映画でも日本軍の残虐な行為のシーンをこれでもかと見せているようで、これがアメリカではかえって不評だったようだ。チャン・イーモウの原点に何かあるのかもしれない。
この映画は1988年のベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞している。確かにこの色彩の強烈さは心に残る。ナマの中国が見られる映画である。私はいい映画だと思うが、賛否両論あるであろう。
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