映画「雨あがる」
大根役者が一人いると映画がぶちこわしになることを証明してくれた映画だ。
原作は山本周五郎、脚本は黒澤明。黒澤明はこれを映画化するつもりだったがついにかなわなかった。代わりに彼の助監督を務めていた小泉堯史がメガホンをとった。2000年公開。出演・寺尾聰、宮崎美子、三船史郎、原田美枝子、吉岡秀隆ほか。
大根役者というのは三船史郎。確認していないが声も顔もそっくりだから三船敏郎の息子だろう。彼の豪傑笑いが空しく響く。彼の扮する殿様が長押の槍を振り回すのだが、その槍の柄が細いからくにゃくにゃしている。だから穂先がぷらぷら揺れて止まらない。大笑いだ。こんな槍で戦ったら一撃で折られてしまう。監督は本物の槍を見たことが無いのだろうか。
ところでアメリカ映画に出てくる女はほとんど周りが見えない身勝手でヒステリー持ちみたいに描かれるが、この映画で日本の女性は賢く美しく慎みある姿で描かれていることに改めて気がついた。宮崎美子が押さえた演技で魅力的。ちょい役で出る松村達雄が場違い。この人は庶民の役をやるのはそもそも向いていない。
それで気がついたけれどこの配役には黒澤映画に対しての気遣いが反映しているようだ。松村達雄は「まあだだよ」で黒澤映画に出ている。三船史郎は三船敏郎を意識したのだろう。隆大介、原田美枝子、仲代達矢などみなそうだ。変な身内の気遣いがせっかくの脚本をぶちこわしにしたのでは無いか。
その辺を確認したいと思う人はどうぞ。変な映画!
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