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2012年3月23日 (金)

中国ウオッチ・レアアース

 中国メディアは、世界のレアアースの埋蔵量の36%しか持たない中国が、世界の90%の供給をまかなっているのに、アメリカや日本がWTOに提訴したことは不当であると訴えた。環境の保護、資源の持続的確保を目的とした調整を違法な輸出規制であるとみるのは不当である、というのだ。
 これは話が逆なのである。中国の言うとおり、レアアースは中国以外にも産出し、製造工場もアメリカやオーストラリアなどにもあったのだ。しかしレアアースの製造時には環境汚染を起こす副産物が大量に出てくるためにその対策にかなりコストがかかる。ところが中国は汚染を無視して大量の廃棄物をだしながら低価格で世界に輸出したから世界中のレアアースの製造工場は太刀打ちできずに閉鎖に追い込まれてしまった。だからシェアが90%になったのだ。シェアが大きくなったとたん、突然3倍以上の価格に値上げ(中には7倍以上のものもある)した。値上げしただけでなく、突然日本に対して供給を激減させたのだ。これは尖閣問題の直後であった。あからさまな報復である。その後他の国にも供給制限を行ったからレアアースを使用しなければならない多くの世界中の工場は困惑した。価格が上がれば閉鎖した中国以外の工場でも採算が合うので再開したいところだが、再開には数年かかるところが多い上、環境問題もあるのでしばらくは中国のものを輸入するしかない。中国国内では中国国営企業のみには問題なく供給しているとも言われる。そこで被害を受けている国がWTOへの提訴をすることになったのだ。
 
 中国はこのような商売の仕方を得意とする。限られた資源などに資本を集中的に投資し、対抗会社をつぶした上で、独占的に確保した市場で価格をつり上げ、巨大な利益を上げるのだ。この手法は中国ばかりでなく、今は世界中の巨大資本が行っている商行為になってきた。社会的な存在である組織が、社会の利益に反することを平然と行う社会、このような社会こそ資本主義の悪としてマルクスが憎んだものではなかったのか。そうして自壊した社会の次に来るのが共産社会であり、それを目指したのが中国ではなかったのか。まあ言うだけ空しいが。

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