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2012年3月 6日 (火)

池上彰著「池上彰の宗教がわかれば世界が見える」(文春新書)

 仏教、キリスト教、イスラム教の三大宗教、そして日本の神道、さらに日本人の宗教観について、それぞれの泰斗と対話して基本の基本を明らかにしながら世界を考える。締めくくりに養老孟司先生との対話を以て死について考える。
 ユダヤ教を淵源とするキリスト教、イスラム教の原理主義的な一神教とはどんなものか、日本人にはなかなか理解ができない。そもそも理解できていないことにすら気がついていないというのが本当だろう。だから平気で「あなたの信じる宗教は?」と問われて「無宗教です」と平気で答えて、一神教の国の人々に恐ろしいものでも見たような目で見られ、人間ではないかのような扱いを受けてしまう。「無宗教」というのはそのような国では宗教を否定する、と公言したことになるのだそうだ。
 ところが普通の多くの日本人は、相手がどんな宗教を信じようが全く否定なんかするつもりはない。宗教についての認識が違うのだ。そしてたぶん世界が平和であるためには日本人のように相手を否定しない生き方の方が良いのではないだろうか。

 世界の宗教についてきわめてわかりやすく説明されているので、分かっているつもりでいた人も一度目を通してみる価値がある本だと思う。

 今回の東日本大震災で宗教はどのような役割を果たしたのだろうか。人知を超えた災厄の時こそ宗教が正しい役割を担うべき時だったのではないだろうか。それなりに個別の努力をしていた例は見たが、既存宗教がその組織力で何かをなした、という話は寡聞にして知らない。

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