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2012年3月 3日 (土)

中国ウオッチ・群衆事件対策

 中国では、地方で農民などが集団で争議行動を起こす事件が多発している。以前は政府も必死でその事実を隠蔽していたが、今は隠しても現れるのたとえ通り、全国で数万とも数十万ともいう争議が起きていることが明らかになっている。これを群衆事件というそうだ。
 その群衆事件の発生が頻発しやすい時期に入ったとして、特に事件発生の多い河北省の農村に15000人の官員が派遣された。河北省は北京を囲むような位置にあり、しかも農村人口が7割を占め、中央政府への直訴が最も多いところである。
 今年は大きな政治的な会議が催される年である。その会議が終わる秋までの八ヶ月間、派遣された官員たちは農村で社会秩序維持のための活動を行うのだという。

 まもなく開かれる全人代などの主要会議を控え、チベット自治政府は携帯電話やインターネットなどの管理強化を行うことを発表した。併せて「早めに、どんな小さなことでも、迅速に犯罪の芽を摘み取るよう」指示した。これも群衆事件対策であろう。

 中国はいつまでこのような方策を続けるつもりだろうか。いや、今の体制を続けるにはそれしか方法がないのかもしれない。この無理な方策が破綻したとき、中国がどうなっていくのか、非常に興味深い。何かが大きく変わるというのは不謹慎であるが楽しみなものだ。

 強権を以て国民を管理するためには情報管理が必要だが、携帯やインターネットの出現で、情報管理を完全に行うことが困難になった。みんなが貧しかった時代と違い、豊かな人々が増えれば貧しい人は不満を募らせる。それが自己責任と考えられない(階層社会では格差は仕方がない、とあきらめられていたが、階層は崩れだしている。そうなると貧しいのは自分が悪いのか、そうでなければ誰かが悪いことになる)格差であれば解消を求めて群衆事件が起こる。世界中で起こっている自由化や民主化の運動はそれだろう。
 情報の自由化は、「あなたが貧しいのはあなたのせいではない、ほかに犯人がいるのだ」という考え方を真理として布教したのだ。これは諸刃の剣である。

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