「清末見聞録(清国文明記より)」・山東紀行・寧陽
十七日午前六時陳家店を出発した。泰山以北は古の斉の地で、その以南は古の魯の地である。この辺りは田野が開けて農産物には大豆、粟、高粱、藍、煙草、南瓜、蕎麦などを見受ける。往々牛、馬、驢馬等を混用して耕しているのがある。行くこと四十里にして寧陽県に到着した。知県の曹氏は敷物、簾、茶碗、鶏二羽、卵、饅頭、思いがけなくもドイツ黒ビール二本を送ってきた。かねて巡部の通知があったためである。ドイツビールはかの青島で醸造したもので、たぶんドイツ人がこの地の知県に送ったものと想像される。山東におけるドイツの手はかくの如く漸次広げられつつあるのである。厚く好意を謝して使者に七百文与えた。れより歩兵二名が我らを送り来ること四十里にして帰り去った。また行くこと二十里にして泗水(しすい)に着いた。
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