震災現場を見る(14日午前)
ぽつんと残った家。
今日は宿を移る。同じ宮城県だが仙台の奥座敷、秋保温泉だ。ゆっくりと宿を出たがまだ車には雪が凍り付いていた。温泉方向に南下せず、東の方向・石巻に向かう。今晩のホテルの宿泊コースが被災地支援割引コースなのだ。東北の温泉に行くことだけでもささやかであるが支援につながると思うが、被災地の現場を実際に見ることが何より必要なことのようにも思われたのだ。
石巻の街は一昨年気仙沼、女川、牡鹿半島を訪ねたとき以来だが、道路は広いのに相変わらず車がやたらに渋滞している。信号が長すぎるのか設定に問題があるのか。とても賑やかだ。震災の痕跡は表面上は全く見られない。かえって震災の復興景気にわいているようにさえ見える。
海岸方向へ向かう。運河沿いにどんどん走ると普通の車がぱたりといなくなり、大型のトラックばかりになった。突然景色が変わった。母が思わず前方を指さす。ただ人家がまばらになったと思って運転していたのだが、よく見るとそこが津波の被災地だった。とりあえず作られた砂利道に乗り入れる。まばらに見えたのはかろうじて流されずに残った家だった。それも形だけである。とても住めるような状態では無い。そのまばらな家以外の場所は、全て土台だけになってしまった以前住宅のあった場所だった。
ぞくぞくする。ここに人が住んでいたのだ。何かが迫ってくる感じがする。母も震えていた。車を止めて辺りを見回す。ここから高台ははるか先である。よほど迅速に逃げないと助からなかっただろう。どれほどの人が犠牲になったことだろう。この感覚は現地に立たないと絶対に実感できない。母はここに来ることに反対していたが、来て良かった、と言った。
そこを離れてかなり走ってスタンドでガソリンを入れた。スタンドのおじいさんに、ここも津波が来たのかどうか聞いたら、来ました、とても恐ろしかったです、と答えた。
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