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2012年3月23日 (金)

「清末見聞録(清国文明記より)」・山東紀行・泰山①

 城北の方角に泰安を圧してそそり立つ泰山は雲に隠れて、今にも雨が降り出しそうな光景だか、思いとどまるわけにも行かない。十五日午前六時山駕籠に乗って行く。駕籠の構造は箱根、日光等で用いるものよりも一層簡単で、日本の天秤棒を並べてこれに駕籠を乗せ、縄を張って座席とし、下に一本の棒を吊して足を載せるのに用い、上には布を張って被いとする。前後二人でこれを担ぐ。乗り心地ははなはだ良い。北門を出ればすぐ泰山の裾野で行くこと二清里、だらだらのつま先上がりになり、路傍には老檜が枝を交えている。また一里ほど行くと一天門を入り、天階を昇り万仙楼(ばんせんろう)を過ぎる。道は渓流に沿って、遡り、両岸檜や柏の木が多く展望は極めて佳である。小さな滝があり、淙々として鳴る、上に小亭があり題して聴泉という。また登ること数里、古びた龍泉観があり、前には高山流水を見、顧みて泰安府城を望む、名付けて聴泉山房という。対聯があって
   客心洗流水、山骨露清秋
また曰く
   檻外紅塵不到、山中翠色常関
と。これよりようやく佳境に入る。そうして霧もまたようやく深く雨は霏々として降る。また登ること数里、壺天閣を経て玉皇票に謁す。その傍らは廻馬嶺すなわち馬返しである。道が急でこれ以上は馬に乗っていくことはできないのである。嶺を廻り路を行くほどに薬王殿がある。また上ること数里、雨はますます激しくなる。中天門に到り小憩した。駕籠かきが言うには、今日の雨は寒冷で骨まで冷えるし風も強い、おそらく頂上まで行くのは無理であろうと。私たちもちょっと無理かなとも思ったが、すでに天門まで来たことであるし、せっかくここまで来たら頂上に上らずに下界に降りる気にはなれなくてさらに上り続けることにした。しばらく行くとイギリス人が山を下りてくるのに出会った。彼はこの山中に避暑していたが今山を降りるところだという。身には中国服をまとっている。その妻は中国婦人である。妻は山駕籠に乗り、愛児三人は勇ましく雨の中を歩いている。かれこれ二、三言葉を交わして別れた。

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