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2012年3月 1日 (木)

映画「愛を読む人」

 2008年アメリカ・ドイツ合作映画。監督・スティーブン・ダルドリー、出演・ケイト・ウインスレット、レイフ・ファインズほか。舞台はドイツだが全編英語で作られている。この映画でケイト・ウインスレットがアカデミー賞主演女優賞を受賞している。
 この映画は前半導入部が、主人公のマイケルが15歳の1958年、これが全ての伏線になって、次にマイケルが法科の学生である1966年、そして物語上の現代である1998年の3つの時代が語られていく。最初がヒロイン、ハンナとの出会いと別れ、次が意外な形でのハンナとの再会(実際には直接対面はしない)、最後がハンナとの本当の再会と別れであるが、全編を通してナチスドイツの時代のハンナの過去が大きく影を落としている。
 ロマンチックな題名と、坦々としたメロドラマのようなはじまりから予感される展開とは大きく異なり、この映画は人間の原罪について改めて考えさせる感動的なものだった。たぶん原作もすばらしいものだろうと思う。戦争責任について国とか組織の問題ではなく、個人の問題として突きつけてくるこのような本が書かれ、映画が作られるという文化度の高さをうらやましく感じた。日本でこのような小説や映画が作られることがあるのだろうか。
 この映画は記憶に残る、非常にいい映画だった。お金を出して見る価値のある映画である。

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