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2012年3月 6日 (火)

「清末見聞録(清国文明記より)」・北京近郊の名勝・万里の長城⑥

 また振り返って、来た方を俯瞰すると、眼下に小さく見える居庸関は、たとえば井戸を覗きこむのに似ている。故に、もし一度八達嶺を占領したなら、居庸関は一蹴して通ることができるだろう。古人が居庸の嶮は関城ではなくて八達嶺にありと言ったのはもっともである。だから長城は分水嶺の高嶺高嶺を伝って築造されている。その規模の大きいことは実に驚嘆すべきものである。私はかつて人がこの壮観であることを語るのを聞き、またその写真も見たが、本当にこのように雄大なものであるとは思っていなかった。今四方を睥睨し、この大観を目撃して、気宇豁如(かつじょ・ひろびろとしていること)、天下を小とする概がある。
    嶺をこえ谷を渡りて果てもなく
                    ちさとの外につづくこの城
ここで携えてきたウイスキーの杯を上げ、朔風(さくふう・北風)に向かって君が代を合唱すること二回、大日本帝国天皇陛下万歳を連呼すること三回、私は未だかつてこのときほど痛快な気持ちになったことがない。

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