「清末見聞録(清国文明記より)」・山東紀行・曲阜聖廟③
愕然として我に返り、左右を顧みれば、右には復聖顔氏、述聖子思氏がいる。左には宗聖曾子、亜聖孟子がいる。やや後方には右に閔子(びんし)、冉子(ぜんし)、言子、顓孫子(せんそんし)、朱子がいる。ここに古の聖賢と一堂の下に会することを得て、万感胸に迫りとどまるところを知らない。楣間には清朝の諸天子の題した
万世師表 斯文在茲 聖神天縦(てんしょう)
徳斉幬載(ちゅうさい) 歌聖悠久 時中立極
聖集大成 聖協時中
等の扁額を掲げてある。辞して堂を出る。東西の小部屋には歴代の賢良従祀の神位があり、寝殿には夫人が祀られている。さらにその後ろには聖蹟殿があり、孔夫子一代の事蹟を大理石数十枚に刻してこれを殿中に置いてある。これは明の万暦二十年十月初めに作ったものである。
すでに衍聖公が来て拝謁されている。私たちはそれを避けて東の小部屋に入り、陰ながらその様子を見るに、公は朝服して儀表堂々多くの従者を伴い、杏壇の下で賛者の令に従い三跪九叩頭の礼を行い、東の階段から上がって堂に入り、まず爵を執り鬱鬯(うつちょう)の酒を祭り香を焚く。賛者が祭文を読む。公は礼を行って堂を下り次に寝殿に謁する。私はその儀を見たのを喜びとし、さらに廟の西の啓聖殿に詣でて聖父母を拝し、廟の東に孔子家廟に詣でた。
*鬱鬯の酒・・・調べが不十分で不明、個別の字の意味から察するに特別な祭礼用の薬酒のようである。
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