NHK時代劇ドラマ「慶次郎縁側日記2」1~3話
仏の慶次郎と呼ばれた奉行所同心の森口慶次郎・高橋英樹が隠居して一年、あとを継いだ養子の晃之助・比留間由哲も一人前となり、その嫁の皐月・安達祐実も初産が近い頃、と云うところから第二シリーズが始まる。北原亞以子の同名の原作は今も続いている人気シリーズである。
前回のシリーズはほとんど見たのだが、この第二シリーズは事情があってみることが出来なかった。衛星放送で再放送していたので収録していた。本日じっくりと第三話まで楽しんだ。
登場人物には余りあざとい人物がおらず、心の優しい人ばかりなのだが、物語にはそれぞれの人が抱える深い傷が重くのしかかっている。
慶次郎には一人娘の三千代・岡本綾がいた。五年前、その三千代と晃之助の祝言が近いある日、三千代は卑劣な男・常蔵の毒牙にかかり、その身を汚され、それを苦に自決してしまう。慶次郎は常蔵を追い詰め、切り捨てようとするのだが、晃之介とその手先の辰吉・遠藤憲一、そして常蔵の娘に止められる。
第一話「雪の夜のあと」ではその後消息を絶っていた常蔵が再び現れる。常蔵は不思議な男で、女が勝手に寄ってきてしまうのだ。それを食い物にして厭きたら捨てる、と云う繰り返しなのだが、それを知らされても新しい女はその話を信じようとしない。今も二人の女が常蔵につきまとっている。常蔵とその娘おぶんの面倒を見ていたのは辰吉であった。それを不快に思う慶次郎は辰吉に「裏切り者」とつぶやく。五年前と同様再び常蔵をめぐって二人の女と娘のおぶんによる修羅場が展開、再び女が一人死ぬ。慶次郎は・・・。
第二話・「正直者」 皐月が無事女の子を出産する。その前後から晃之介が異常な潔癖ぶりを示す。常蔵の始末に関しての精神的なわだかまりか、と慶次郎は考えるのだが、皐月は他に何か訳があると思うという。その頃晃之助は賭場の使い走りをしている直太・浅利陽介を常につけ回し気にしていることに慶次郎は気づく。その直太は慶次郎のことも知っているようなのだが慶次郎には思い当たることがない。晃之介から直太の以前の素性と慶次郎との関わりを聞かされて愕然とする。自分のかけた優しい言葉がかえって若者を傷つけたかも知れないと知らされたのだ。その直太が賭場のならず者達に亡き者にされようとする。旗本屋敷での賭場開帳の事実を知る直太の口封じをしようとしたのだ。直太の様子をうかがっていた慶次郎と晃之介によって直太は救い出される。晃之介は諄々と直太を諭す。その言葉は合わせて慶次郎に聞かせる言葉であるし、同時に晃之助自身への言葉でもあった。そのあと晃之助の潔癖さは治まる。
第三話「逢魔が時」 慶次郎は、普段は酒屋の寮(慶次郎に恩義を感じている酒屋が隠居所として提供している)に飯炊きの佐七・石橋蓮司と暮らしているが、ときどき上野・不忍池の池之端の料亭・花ごろもを訪ねる。女将のお登世・かたせ梨乃と深い仲なのだ。だが何となくお互いを思いやりすぎてその仲もしっくりしなくなっている。そんなとき逢魔が時に不思議な女・お俊(しゅん)・古手川祐子が料亭の客として現れる。その頃あちこちのお店で高額の品物が万引きされるという事件が続く。その女が現れるのは決まって逢魔が時であると云い、そのなりは大店の女将のものであることだけが分かっている。漏れ聞く話からお登世はその女こそお俊であることに気が付く。そしてお登世は全て承知した上で自分の料亭に席を設け、慶次郎の寮の主・酒屋の山口屋の主人と慶次郎、お俊、そして佐七を招いて料亭の力の限りの料理でもてなす。佐七は同席せず、調理場で同じ料理を食べ、自分の気持ちをお登世に伝える。お登世はお俊に揺らされた自分の心を取り戻す。そして再びお登世とお俊が対峙することになるのだが・・・。
どの話も人の気持ちの深さがしみじみと感じられてとても良い。手先の辰吉役の遠藤憲一、飯炊きの佐七役の石橋蓮司、取り上げなかったが同じく手先のまむしの吉次役の奥田瑛二がすばらしいのだ。またナレーションが皐月役の安達祐実でこれがまたかわいくてとても良い。こんなにいい娘と思わなかった。第二シリーズは全部で十話あるのでまだまだ楽しめるぞ。
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