« 映画「しあわせのパン」2012年日本映画 | トップページ | 映画「エレクトリック・ミスト 霧の捜査線」2009年アメリカ・フランス合作映画 »

2012年12月24日 (月)

裵淵弘「中朝国境をゆく」(中公新書ラクレ)

 著者の裵淵弘(ベ・ヨンホン)は東京生まれのフリーのジャーナリスト。朝鮮半島を主なテーマに執筆活動を行っている。副題は、「全長1300キロ」の魔境。

 労作である。それだけに新書なのにすらすらと読みにくい。中身が濃いのだ。読むのにだいぶ時間がかかった。

 最初は中朝国境で脱北者を取材したルポだと思って読んでいた。確かに中国と北朝鮮の国境を走破し、脱北者に北朝鮮の状況を聞き、その手助けをしている人たちにインタビューを試みているのだが、そこから脱北者がなかなか韓国に受け入れられない現状。中国の脱北者に対する極めて冷酷な仕打ちの背景が明らかにされていく。

 これ程までに韓国政府が脱北者を迷惑な存在として扱っているのか知らなかった。それはなぜなのか。

 北朝鮮はいまに自壊すると言われ続けてきた。最もあり得るのが金正日が死んだ時であろうと云われていた。何も起こらなかった。これは韓国も中国も北朝鮮が変わることを望んでいないと云う事だ。だから脱北者の存在は現状維持を望む中国や韓国にとっては迷惑な存在なのだ。

 中国の東北三省には多数の朝鮮族がいた。今その数が激減している。他の地方に意図的に移住するよう仕向けられてきたようだ。以前は地域の半数以上が朝鮮族だったところが漢族が優勢になっている。2020年までには朝鮮族は分散して勢力ではなくなる見込みである。

 中国は北朝鮮有事の際にこの朝鮮族が、地域紛争の火種になることを恐れている。その火種はあと十年足らずで解消の見込みだ。

 韓国政府は民族統一を恐れている。東西ドイツの統合の際の、特に経済に及ぼした混乱は甚大なものがあった。あれだけの資産を持っていた西ドイツでも大変な負担を背負うことになった。今韓国は経済的に急成長している。とはいえ経済格差がこれだけ大きな北朝鮮を背負い込むことは韓国経済にとって大ブレーキになることは間違いない。日本に対してえらそうなことが云えるのも、経済が成長しているからである。

 そうして今北朝鮮の国民は塗炭の苦しみの中で、希望から見放されている。

 この本では朝鮮の歴史、中国との関係、国境が確定されるまでの紆余曲折が詳しすぎるくらいきちんと書かれている。朝鮮半島についての知識を得る一助となる本である。

 最後に在韓米軍の位置づけの変化が記されている。このような動きと韓国の反日運動が連動しているような気がする。そしてその背後には中国がいる。

« 映画「しあわせのパン」2012年日本映画 | トップページ | 映画「エレクトリック・ミスト 霧の捜査線」2009年アメリカ・フランス合作映画 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 裵淵弘「中朝国境をゆく」(中公新書ラクレ):

« 映画「しあわせのパン」2012年日本映画 | トップページ | 映画「エレクトリック・ミスト 霧の捜査線」2009年アメリカ・フランス合作映画 »

2024年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

カテゴリー

  • アニメ・コミック
  • ウェブログ・ココログ関連
  • グルメ・クッキング
  • スポーツ
  • ニュース
  • パソコン・インターネット
  • 住まい・インテリア
  • 心と体
  • 携帯・デジカメ
  • 文化・芸術
  • 旅行・地域
  • 日記・コラム・つぶやき
  • 映画・テレビ
  • 書籍・雑誌
  • 経済・政治・国際
  • 芸能・アイドル
  • 趣味
  • 音楽
無料ブログはココログ
フォト

ウェブページ