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2012年12月 1日 (土)

在庫が三年分

 中国の大手アパレルに衣料品の在庫が少なくとも三年分以上あると云う。もちろん世界的な需要の冷え込みが大きな理由なのだろう。しかしもともと過当競争による生産過剰の状態だったのかも知れない。

 日本でも衣料品はあふれていて、各家庭のタンスの中には何年分もの衣服が眠っている人が多いだろう。中国もそうなりつつあるようだ。

 大量生産すれば製品も安くなる。ものが不足して手に入らない時代には、安いものがふんだんにある世界は幸せな世界なのだと思っていた。今は幸せだろうか。

 ものをひたすら作り続け、需要のない所に心理学を駆使してまで無理矢理購買意欲を刺激し、それを流通させようとしている。消費者はものを買うことに疲れ始めているように見える。

 我々が苦労してものを手に入れるという歓びを見失って久しい。

 ところで、そもそも中国は共産主義の国であり、計画経済の国であるはずだ。ものを無計画につくるより、計画生産すれば無駄も無くてコストも安く出来るはずだが、計画生産していた時代にはものが手に入らなかった。不思議なことである。そして自由経済体制となった。

 中国がほんとうの共産主義国家だった時期は僅かだったような気がする。そもそも共産主義国家が成立するためには独裁的でカリスマのある指導者がいなければならないように見えるのはどうしたことだろう。国民の平等を目指すイデオロギーが、独裁者を必要とするのは矛盾だ。そもそも人間は平等など求めていないのかも知れない。

 独裁者が支配する国家は王朝国家だろう。今の中国は共産党という名前の(共産主義とは無関係の)組織が支配する王朝国家にみえる。その王朝国家が覇権主義を推し進めている。その経済的裏付けはものをひたすら作り世界に売り込むことにあるようだ。だがものの生産が過剰になり、市場が飽和すれば経済的な裏付けを失って国家の求心力も低下する。

 太陽光パネルに続いて衣料品も過剰な在庫を抱えだしたと云うことは、中国王朝の落日の兆しなのかも知れない。早晩自動車の生産過剰の日が来るだろう。

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