椎名誠「日本細末端真実紀行」(日本交通公社)
椎名誠の旅の本、第二冊目である。昭和五十九年発刊。なつかしい。何せJTBではなくてまだ日本交通公社なのだ。主に旅の雑誌「るるぶ」に連載していたもの。
旅の雑誌は男性よりも女性の方が読んでいるように思う。その雑誌に連載しているのにアンノン族をあざ笑うような記述が多い。最初の方はアンノン族の行きそうな所がわざといくつか選ばれている。神戸の異人館、渋谷のスペイン坂通り、倉敷の蔵の町並み、幕張の人口浜など。
恥ずかしいところは椎名誠でなくても恥ずかしい。そして女性がわあきゃあ言う場所は大抵恥ずかしい。そして行き先は女性の好みを離れて恥ずかしいところに展開していく。
男が一人旅に出かけて、観光地での賑わいを斜めに見ていると、観光客を含めてなにやら恥ずかしい。人は日常を離れたものを求め、観光地は非日常を仕掛ける。そんなものが透けて見えてしまうからだろう。
でもそうやってたった一人で格好をつけている自分が最も恥ずかしいことを椎名誠はよく分かっているのだ。かくいう私も。
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