言葉に好き嫌いのない人は実はいない(by山本夏彦)
困ったことに言葉に好き嫌いのない人は実はいないのである。ことに婦人は敏感で、三島由紀夫の「美徳のよろめき」以来よろめくと言いだした。それまでは間男するとか間夫とか言った。卑しいことには卑しい言葉がふさわしいのにそれが正視できなくて、よろめきにとびついたのだから言葉に敏感だと言わなければならない。
私は時と場合によって助平と言って婦人にいやな顔をされることがある。エッチと言えば莞爾とするからエッチならいいんだと分かってこの婦人も婦人なりに敏感だと知るのである。
して見れば敏感と敏感が鉢合わせして、互いにせめぎ合っているのが浮世かと私は不承するのである。(このけがらわしい言葉「ロマン」、より)
マスコミが忌み言葉だらけになってがんじがらめなのはこの故か。まことにこの世は言葉に敏感で、その分事実に鈍感だ。
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