女は永遠に十七である(by山本夏彦)
どんな席に出ても自分が一番若かったのに、いつのまにかいちばん年かさになってしまったとは皆が皆歎く嘆きである。これは本来人には年齢がない、女は永遠に十七である証拠だと言うと、傳恒のように理解する人と理不尽で分からぬという人に分かれるから念のために書く。
(略)
まことに歳月は勝手に来て勝手に去る。私たちの内部は永遠に年をとらないのに、外部だけとるのは納得できないことである。それに年とったからといって少しも利口にならなければバカにもならない。いつかしわがよるのである。何よりおお男たちの見る目が違うのである。自分が男たちを見る目は違わないのに。
女のことばかりいったが、男も同じだと思ってくれ。白髪は知恵のしるしではない。人間本来男女なし老幼なし。だからその目で五十六十の女を見てごらん、もうろう彷彿として老いた顔のなかに十七の顔があらわれ、次第にそれが全貌を覆うから。
山本夏彦は本当に冷たい。それが大好きなのだから私も冷たいのだろう。
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