野菜価格の高騰
日本のメディアが「日本と中国が戦争になった場合、食糧の供給で中国に依存している日本では野菜の価格が10倍になる可能性がある」と伝えた、と中国で話題になっているらしい。
このメディアがどこなのか知らないし、その記事も読んでいないが、早速に中国で突っ込みが殺到しているというのだ。
「戦争になればミサイルが飛んでくるかも知れないのに野菜の心配をしている場合か!」。まことにもっともである。
この日本の記事が本当だという前提で言えば、日本のそのメディアの平和ボケは異常である。しかしいくら何でも・・・と考えたら、こういうことか、と思い当たった。
この記事を書いた記者は日中の間に戦争が起こるような事態はいけない、と主張したかったのだろう。当然だ。そして日本国民、特に女性にその危機を訴えるには野菜価格の高騰を訴えることが具体的な戦争危機を分からせるのに良い、と思ったのだろう。
ここには読者、つまり日本国民がその程度に愚かである、という意識が感じられる。愚民に戦争の危機を伝えるにはこのレベルの話題が適当、と判断して記事を書き、それを編集長などの上司が諒としたから記事になったのだろう。
あの号泣会見の議員のように愚かな国民もいる。そんな国民も含めて日本国民であり、読者である。しかしそこをターゲットにして報道をするのは異常だ、と思うのだ。
新聞に使う漢字のレベルを小学生の読めるものにする、という趣旨でおかしな漢字の使い方(熟語の一部をひらがなにする!など)を平然とするところにも読者の蔑視が含まれている。
小学生でも新聞を読むくらいの子供は当用漢字でなくたって読めるし、読めなければ辞書で調べるだろう。山本夏彦ではないけれど、ルビを振れ!ルビを復活させろ!
いま読んでいる本(「中国の愚民主義」横山宏章)で思ったことだけれど、独裁国家(社会主義国家はすべて独裁国家)は、国民は愚かなものであり優れた人間が領導しなければならない、という確信のもとにある。
そして民主主義はその愚かな国民も国民として国家経営に関与できる、とする考えで成り立っている(だからときに民主党を政権につけるような間違いをおかすが、それを修正することが可能なシステムでもある)。
読者を愚民と前提するメディアに社会主義に対するあこがれがほの見えるのは、だから当然なのかも知れない。
中国のネットでは、「中国人でも危険で食べたくないのに、日本が中国の野菜を食べているとは驚きだ。本当なのか」というのもあったらしい。
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