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2014年7月21日 (月)

映画「チャイルド・コール 呼声」2011年ノルウエー・ドイツ・スウェーデン

 監督ポール・シュレットアウネ、出演ノオミ・ラパス、クリストッフェル・ヨーネル。

 ノオミ・ラパスと言えば、あの「ミレニアム」三部作のリスベット役を演じた女優だ。あの映画はハリウッドで「ドラゴン・タトゥーの女」という題名でリメイクされた。この時のリスベット役はルーニー・マーラだったけれど、ノオミ・ラパスの方がインパクトが強かった(初めてリスベットという強烈なキャラクターに出会ったからだけれど)。

 この映画は冒頭でのワンカットに向けて物語が進行していく。全部を見終わったときに初めて全体の意味が分かる、という映画だ。いや、それは正確ではない。見終わっても意味不明だったり矛盾したシーンが並べられている。だから人によって読み取る解釈は幾通りもある。そして観客は宙ぶらりんのままで終わる。

 こんな映画が昔は苦手だった。しかしこの映画みたいに優れた作品を観ると、こんなのもありだ、と思うようになった。唯一ひととおりの解釈しか許さない映画よりもはるかに余韻が残り、忘れられない映画になる。

 小学生の息子・アンディッシュを連れて、DVの夫から逃げたアナは保護監視の役人の用意したアパートに移り、身を隠す。アナのおびえ方は過剰であるが、夫が子供を殺しそうになったことなど、その理由も次第に明らかになる。

 ところがアナの行動は次第にエスカレートしていき、保護官もアナが子供を養育する適格性を疑うほどになる。アナ自身も自分の行動が正常なのか異常なのか分からなくなっていく。

 アナは息子のためにチャイルドコールという音声監視モニターを購入する。原題は「BABY CALL」なのであちらではそう呼ばれているようだ。ところがそのモニターから、子供が虐待されている音声が流れて来る。何処かのチャイルドコールと混信しているようだ。

 このチャイルドコールの混信先にこだわりつづけるアナ。それが彼女の妄想なのが現実なのか観客には判然としない。アナはたまたま知り合った男と親しくなる。その男は、子供のときにやはり虐待を受けたことがほのめかされる。この男の母親は死の床にあるのだが、それに耐えてアナのことを心配する。

 悲劇へと突き進むアナとそれを救おうとする男。そして男が知った真実はさらなる不可解な謎となって・・・終わる。

 冒頭の「アナ、アナ、アンディッシュはどこだ?」という男の呼び声が耳に残って忘れられない。

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