言葉というものは電光のように通じる(by山本夏彦)
言葉というものは電光のように通じる。時に通じすぎる。ことに読者のノドまで出かかっていることを言うと、そうだそれが言いたかったのだととびあがって、あとで論旨が一転し、再転してもまさかと思うのか、そこは読まないで痛快がって終わる。
言いたいことが胸にまた腹にあった読者は、少しちがった喜びを喜ぶ。腹にあることさえ気が付かなかった読者は、それがあったことにまず驚き、あわてて打ち消す人と怒る人のふた派に分かれる。
山本夏彦は短い文章に思いを凝縮させているので、淺読みすると読み誤る。読み誤る人にはそれについに気が付かないままの人とあとで気が付いて怒る人とがいた。怒る人はバカにされたと思うらしい。バカにされたのだけど。
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