海音寺潮五郎・司馬遼太郎(対談)「日本歴史を点検する」(講談社文庫)
先般読んだ佐高信の「司馬遼太郎と藤沢周平」のなかでの司馬遼太郎に対しての批判的な文章が頭から離れない。読みようによってはあのような批評が成り立たないことはないことについては理解できないこともないが、何となく浅薄であるような気もしていた。
そこでずいぶん古い本を引っ張り出して読んだ。この文庫は1974年が初版で、購入したのは1996年以降だ。海音寺潮五郎は明治34年生まれ、司馬遼太郎は大正12年生まれだから二回り以上年が違う。その二人が子供のように嬉しそうに対談している。子供がお互いのおもちゃを見せ合って喜んでいるようだ。わかり合えるということの喜びがあふれている。
司馬遼太郎は海音寺潮五郎が大先輩であるからまことに丁寧な言葉遣いをしている(この人はもともと言葉遣いは丁寧だけれど)。それに対して海音寺潮五郎の言葉遣いも次第に同じように丁寧になっていくような気がする。相手に一目置くとその敬意から言葉遣いは丁寧になるものなのだろうと思う。
この本で語られている内容を見て、佐高信の批評を思い返すと、やはり浅薄な批評であるように見えた。
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