映画「ゼロ・ダーク・サーティ」2012年アメリカ
監督キャスリン・ビグロー、出演ジェシカ・チャスティン、ジェイソン・クラーク、ジョエル・エドガートン他。
あのウサマ・ビン・ラーディンの行方を追い、パキスタンの隠れ家を見つけ出して殺害するまでを描いた映画だ。ほとんどドキュメンタリー映画と云っていい。話題になった映画なので見たいと思っていたけれど、とにかく長い(157分)ので後回しにしていた。
アメリカの諜報能力のすごさと、そのすごさをもってしてもなかなかつかみきれない情報があると云うこと、そして膨大な情報から求めるものを選び出していく能力、執念というものを見せる。
最初は拷問による情報の取得が執拗に描かれる。デジタル情報をひたすら集めることよりも、拷問によって得られる情報のほうが、はるかに核心に迫る重要な情報が得られることをあらためて知るのだが、その手法が国際的に非難を浴びるて許されなくなると、たちまち何も見えなくなってしまう。
結局過去の捕虜からの情報をひたすら追い続けた線から突破口が開けていく。100%確実な情報などない。それなのに上司達はそれを求める。責任をとりたくないのだ。事態は延々と放置されつづける。その待ち時間こそが責任者が責任を引き受けざるを得ない、と覚悟するための時間であった。
全てが終了したあとの、主人公の女性CIA分析官の放心したような表情のなかにこの映画が語りたいことがあるような気がする。達成感であり、仕事が終わってしまったことへのむなしさであり、自分のしてきたことへのいささかの懐疑であろうか。
アメリカの正義とは何か。そもそも正義とは何か。テーマは重いけれど最後まで集中力が切れないで観ることが出来た。つまり面白かったと云うことだ。
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