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2014年11月 6日 (木)

大衆迎合の呪縛

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 呪縛とは、字をそのまま見れば、呪いに縛られることだ。すごい言葉だ、と改めて気が付いた。

 アメリカでオバマ大統領の不人気が大きく影響して、上院下院ともに民主党が敗北した。共和党のみならず、民主党からもオバマに対する批判が噴出しているようだ。

 しかしこのオバマを大統領に担ぎ上げたのは民主党であり、彼を選んだのはアメリカ国民である。彼の人間性が大衆迎合的であることがアメリカにとって、そして今回、世界にとってどうもマイナスらしいことにアメリカ国民が気が付いたのならそれはひとつの前進である。

 黒人であることは、アメリカではハンディであった、という長い過去がある。それに対する罪の意識はアメリカ国民に根深くあると思われる。そしてそれが表面化すると、弱者はときに弱者であることがひとつの権力に転化する。アメリカ国民が人物としてのオバマにプラスして黒人であることを価値として付け加えて大統領を選んだと私はみている。

 そうであれば、もともと大衆迎合的であった彼がますます大衆迎合的な政策をとるのは流れとして当然だったかも知れない。国際的にアメリカの国がどうあるべきか、と云う長期的視点を欠き、その場その場の状況判断でものごとを決めてきたことが、結果的に矛盾だらけで筋の通らないものになってしまったのではないか。

 オバマは明らかに安倍首相が嫌いだ、と私には見える。世界はこうであるべきであり、そのためにアメリカはどうする、と云う視点を持たないオバマにとって、正論を語る安倍首相は苦手な相手だろう。習近平主席や朴槿恵大統領との会談より明らかに冷ややかな応対をしているのが見て取れた。

 その習近平主席がAPECで正式の日中首脳会談を行わないことにしたようだ。もちろん日本側と中国側の交渉の結果であるから一方的な中国の責任ではないとも言えるが、中国側が会談の前提条件を引き下げないということは、中国の拒否でしかないではないか。

 韓国経済はサムスン電子の減収減益で右肩下がりが顕在化した。現代自動車とその子会社の起亜自動車の燃費データの捏造がアメリカで断罪されて巨額の賠償金を払うことになった。賠償金だけではなく、その信用も失ったことは今後大きなダメージとして残るだろう。

 韓国は竹島に新たに建造するはずだった施設の建設を中止した。これを建言したのは韓国の外務大臣だったと報じられている。「これ以上日本を刺激するべきではない」というのがその理由だという。いままでならこんなことを云えば袋だたきなのにどうもすんなり決まったようだ。

 韓国国民も何となく自分の国がまずいことになっていることに気がつき始めたようだ。頼みにしていた中国こそが韓国のサムスンの凋落の原因であることを思い知らされている。相変わらず韓国経済の低落は日本の円安政策が原因だ、と韓国のマスコミは日本が犯人のように言い続け、安倍首相は悪人である、と言い立てている。

 しかし対中国とは違って日韓の貿易額は三年続けて輸出入ともに減少している。今後さらに減少していき、回復は当分期待できないだろう。それにいまや韓国製品の競合相手は中国だ。その中国への韓国の輸出も頭打ちになってきたらしい。

 朴槿恵大統領の、反日世論を背景にした政策が破綻し始めた。しかし手のひらを返して日本との関係修復に動いたとしても、日本人としては歓迎の気持ちはあまりない。韓国との関係は日本にとって昔と違い優先順位が低いし、ますます低くなりつつある。

 彼女こそ大衆迎合でその地位を維持している政治家そのものだ。そのツケは早くも回ってきて彼女自身を苦しめ、韓国国民を苦しめることになるだろう。

 周永康という中国最高指導部の元常務委員が汚職容疑で取り調べを受けている。彼は上海閥の江沢民に次ぐナンバー2であり、胡錦濤、習近平(習近平を引き上げたのは江沢民だが、習近平は主席になったとたんに裏切った)の政敵と目されている。

 周永康とその一族が蓄財した額は一兆円をはるかに超えると報道されて世界中が驚愕したが、その周永康の取り調べがいつまで経っても終わらない。多分いままでもそうだったように、水面下で激しい権力闘争がおこなわれているのだろう。

 一気に片をつけられないというのは、習近平の足もとも見かけほど盤石ではないと言うことかも知れない。権力闘争を汚職摘発という大衆迎合にまぶして進めている習近平としては、日本との宥和を進めることは大衆から反発を受けると読んで日中の正式会談をおこなわない、と決めたのだろうか。

 これほど徹底した反日教育を続けてきた中国でも、国民の半数以上が日本との関係を改善すべきと考えているという調査がある。これは韓国も同様だろう。

 大衆迎合はしばしば声高な一部の声に惑わされてその判断を見誤る。反日教育などと言う異常な政策に為政者自身が呪縛されているのかも知れない。しばしば大衆のほうが全体としてみると、実は正しくものが見えていることがある。

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