日下公人「「新しい日本人」が創る2015年以後」(祥伝社)
喪われた20年を通じて「日本はもう駄目だ」とマスコミや有識者は大合唱して日本人の自信を喪失させてきた。日本のメディアがそう言うのだから多分そうなのだろうと世界中が、特にそれを強く望んでいる中国と韓国が、それを信じた。
それが「どうもそうでもないらしい、けっこう日本もやるじゃないか」という見方がされるようになってきた。まずスポーツの世界から変わっていった。いままで全く歯が立たなかったいろいろな競技で日本の若い選手が気を吐いている。
東日本大震災などでの日本人の行動を見て、世界は日本の美点を見直した。日本人よりも韓国や中国の人々のほうが素直にそれを認めている。日本を訪れた海外からの観光客の多くは日本の良さを褒め称えている。
この本にも書かれている。
「全部言わなくてもわかる人にはわかる。わからない人にはわからない。もっと言えば東京など都会で育ちましたという人にはわからない人が多い。まして学者の卵だとか、朝日新聞に行って偉くなりましたなどと言う人は、全く駄目だ。勤勉で誠実という美徳が理解できない人は、古い日本や古い日本人が持っていたソフトパワーを否定してしまうからである」
そして日本の良いところをソフトだけでなく、具体的にハード面からも列記していく。
グローバリズムという新興宗教の化けの皮が剥がれてきた。そのあとのモデルになるのが日本だよ、というのがこの本の言いたいことである。確かに日本の若い人たちの意識が近年大きく変わってきたのを感じる。むさぼることがなくなり、自然体で、美意識を持って生活している若者が増えているようだ。かえって老人のほうが拝金的かも知れない。
この本でも繰り返し書かれているけれど、マスコミや有識者こそアメリカをはじめとした西洋的思考に洗脳された世界観から脱却できずに、時代の変化がもっとも見えていないのかも知れない。
どうやら日教組やマスコミが作りあげた自虐史観からようやく日本は目覚め始めているらしい。めでたいことである。ただ変な自信過剰でヘイトスピーチに走るような連中は論外である。彼等の侮蔑の言葉は、韓国の反日と同様劣等感に発しているように見える。自信がないから相手をこき下ろすことで自分が上位にあるように思いたいだけではないか。人をこき下ろす前によく学び、よく考え、よく働くことだ。そうすればひとりでに優位に立つ事が出来る。
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