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2014年11月27日 (木)

映画「遙かなる山の呼び声」1980年

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 監督・山田洋次、出演・高倉健、倍賞千恵子、吉岡秀隆、ハナ肇、武田鉄矢他。渥美清と畑正憲が友情出演している。

 (個人的)高倉健追悼映画鑑賞第6弾。

 「しあわせの黄色いハンカチ」は良い映画で私も好きだけれど、私はこの「遙かなる山の呼び声」のほうが好きだ。

 何度か書いたけれど若い頃仕事で足かけ11年間、年に数回北海道に出張した。一回一週間から十日間、道内を走り回ったけれど、いちばん好きだったのが北見の街だった。北見を拠点にして、網走、斜里、遠軽、中標津、女満別、美幌などを走り回った。この辺りは牧場が多い。そして牧場が多ければ屠畜場も多いわけで、新鮮な肉が北見ではふんだんに安く食べられる。夜、濛々たる煙の中、ビー酎(焼酎のビールわり)を片手に食べる焼き肉はこの上もなく美味であった。酩酊すれば零下20℃も心地よい涼しさに感じられた(若かったのだ)。

 この映画の舞台は根釧原野の小さな牧場だけれど、まさに私が走り回ったあたりにある。冬の厳しい寒さ、春のタンポポの黄色の鮮やかさが忘れられない。地元の代理店の人と車で走るとセンターラインの黄色と、道の両脇のタンポポの黄色が三本の線になって延々と続いていく。そしてその外側は大きなフキの葉がびっしりと覆い被さっている。

 夫を病気で亡くし、女手ひとつで一人息子を小さな牧場を営んでいる民子(倍賞千恵子)の家に、雨の夜、男(高倉健)が尋ねてくる。路に迷ったというその男を不審に思いながらも馬小屋に泊めてやるのだが、その晩牛が産気づき、出産を男に手伝ってもらうことになる。翌朝男は礼を言って立ち去っていく。

 その男を忘れかけた頃、再び男が牧場を訪ねてくる。食事さえさせてくれれば手当はいくらでも好いから働かせて欲しい、というその男・田島の申し出は、人手が足らずに困っている民子にとっては願ってもいないものだが、尋ねてもわけをいおうとしない田島に不審を感じざるを得ない。

 迷いながら田島の滞在を認めた民子だったが、田島はいつしか息子の武志と心を通わせていき、牧場になくてはならない存在になっていく。田島は武志に男のあるべき生き方を教え込んでいく。

 女一人では早晩匙を投げると回りから見られていた民子の牧場は、田島のおかげでギリギリ経営することが出来ていた。

 そんな民子に言い寄る虻田(ハナ肇)と田島との諍いがあり、虻田三兄弟との決闘を経て、いつしか田島は存在感を増していく。

 やがて田島の過去が明らかになり、田島は、ずっと居続けることを期待していた民子親子に決別を告げる。彼はある理由から人を殺して逃亡していたのだ。

 そして冬、逮捕された田島に判決が下りて、網走への列車の車中、刑事の横に田島は手錠をかけられて坐っている。網走も近い美幌の駅に停車した刑事と田島の前に民子と虻田の姿がある。

 このあとのシーンが(見たひとは皆認めるだろうけれど)名シーンなのだ。滂沱の涙を流す健さんに黄色いハンカチを手渡す倍賞千恵子の姿には、何度見てももらい泣きさせられてしまう。窓外は極寒の北国だが、車中には暖かい空気が満ちている。

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