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2014年11月22日 (土)

映画「駅 STATION」1981年

 監督・降旗康男、脚本・倉本聰、音楽・宇崎竜童、出演・高倉健、いしだあゆみ、倍賞千恵子、烏丸せつこ、根津甚八、大滝秀治、田中邦衛、草野大悟、小松政夫、小林稔侍、寺田農、阿藤海他。

 私が日本映画ベストワンに据えて揺らぐことがない映画。だから高倉健主演映画でももちろんベストワンだ。特に冒頭五分足らずに登場するだけ(回想シーンでも登場する)のいしだあゆみは絶品で、このシーンだけで主演女優賞をあげたいくらいだ。

 ところが久しぶりに見たら、なんとストーリーの前後が記憶と全く違うことに驚いた。明確に別れているわけではないが、物語は重なりながら進行するオムニバス形式である。その区別はメインになる女による。

 絵は絵でしか、音楽は音楽でしか表現できないように、映画は映画でしか表現できない。それでもあえてそれを言葉で語るのは、絵を、音楽を、そして映画を、見て、聴いて、観た自分が、それをどう感じたのかの表明であって、作品そのものは実際に鑑賞しないことにはわからない。

 いつも読ませてもらっているCZTさんのブログで最近その辺のところをもう少し深く考察されていて感じるところがあった。

 だからかえってもっとも自分の感性に響いたこの映画について語る言葉があまりない。どんな言葉も自分の感じたこととは違ってしまうからだ。かわりに本当に良い映画だから一度は実際に見て欲しい。

 この映画の倍賞千恵子がとてつもなく好い。これも見ればわかる。

 この映画を観た頃、仕事で年に数回北海道内を回っていた。倍賞千恵子のやっているカウンターだけの小さな飲み屋のような店で、女将と二人きりで何となくしんみりと飲むようなことがある。わざわざ表通りから一本二本裏通りの、客があまりいない店をわざわざ覗いて歩いたりした。この映画を観たからそうしたのではない。そういう経験がこの映画をより実感として感じさせたのだ。

 この映画の、忘れられないいちばん好きなところ。「樺太まで聞こえるかと思ったぜ!」という高倉健の声にださない言葉。何を言っているのか、映画を観てなるほど、と頷いて欲しい。オトナにしかわからない話。

 東京オリンピックのマラソンで銅メダルだった円谷幸吉選手が、メキシコオリンピックを前に、自ら頸動脈を剃刀で切って自殺する。円谷選手の遺書の朗読はドラマの深みを増す大事なエピソードになっている。

 銭函、増毛、雄冬の地を三年前に訪ねた。特になにもないその地にしばらく暮らしたいような気がした。

 あらためて高倉健に追悼。思い入れが強すぎて文章がとりとめもないものになってしまい申し訳ない。

 明日はいよいよ「冬の華」(1978年)を観る予定。これはブルーレイではなく、DVDなので画質が落ちるが、良い映画だから好いのだ。

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