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2014年11月19日 (水)

 昨晩も今朝もテレビでは高倉健についての報道が続いている。昨日は茫然自失で「ああ死んだのか」ということしか感じなかったけれど、今日になると、次々に出演作が取り上げられているのを見ていて、その映画を見たときの感動が思い出され、感極まるものがあった。

 「居酒屋兆治」で健さん扮する英治(居酒屋「兆治」の亭主)がむかし愛した人(大原麗子)の葬式で、涙を見せないようにするために空を見上げて耐えていたけれど、こちらはあそこまでこらえ性がないから、目頭が熱くなってしまってどうしようもない。この映画ではねちねちと嫌がらせをする男を伊丹十三が好演し、いたぶられる男を小松政夫が演じていて絶品だった。あのときの英治(高倉健)の怒りは、男が失ってはならないものを見せてくれた。

 男は耐えなければならない。そして泣いてはならない。それが男の美学だ。しかし耐えすぎて怒りを忘れても、涙を失って血も涙もなくなっても男ではない。その限界ギリギリの男の美学を健さんは私に教えてくれた。それなのに、知っているというだけで、実際はめそめそと生きてしまった。なんとみっともない生き方をして生きてきたことか。

 かっこうよく生きるということは、自ら損をすることである、と云うことを教えてくれたのも健さんの映画からだった。せめてむさぼることだけは死ぬまでしたくないと思っている。

 健さんさようなら。今晩は一献手向けるつもりだ。

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