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2014年11月25日 (火)

映画「夜叉」1985年

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 (ごく私的)高倉健追悼映画鑑賞第四弾。ビートたけしが高倉健と最初に共演した映画だったはずだ。

監督・降旗康男、出演・高倉健、田中裕子、いしだあゆみ、田中邦衛、ビートたけし、小林稔侍、あき竹城、檀ふみ、乙羽信子、大滝秀治、寺田農他。

 舞台は若狭の漁村、大阪ミナミで「人斬り夜叉」と呼ばれていた修治(高倉健)が足を洗ってこの漁村で漁師になって15年。そこへ流れてきた子連れの女・螢子は小さな居酒屋「螢」を始める。

 この螢子のヒモのような男が矢島(ビートたけし)で、彼は螢子を追って漁村にやってきて栄養剤という名目で秘かに覚醒剤をばらまいていく。

 螢子の出現をきっかけに、漁師仲間に隠し続けてきた背中の夜叉の入れ墨が露見してしまい、それとともに修治の心の夜叉が動き出す。

 高倉健と田中裕子が、少ない台詞をゆっくりとかみしめるように交わすシーンがいくつかある。男と女はときに瞬時に心が通い合う。芥川龍之介の「好色一代男」の世之介の口を借りて語られた言葉を思い出す。体を重ねても心は通わないこともあるが、指先が触れただけで深い心の通い合いが生ずるときもあるのだ。

 いしだあゆみは若狭の海に似合う。寅さんシリーズで、舟屋の二階に泊まっている寅さんを、いしだあゆみが夜ひっそりと訪ねるシーンがある。寅さんは寝たふりをして彼女の心に応えない。彼女をしあわせに出来ないことが分かっているからかも知れないけれど、一夜だけでも肌を触れあわせて心を通い合わせるのは男の礼儀だろうに、と歯痒い思いがしたものだ。若狭というとこのシーンを思い出してしまう。

 初めてこの「夜叉」を観たときにビートたけしの演技がこなれていないような印象だったが、今回観ていてそこまでひどく感じなかった。昔のほうが採点が辛かったようだ。

 檀ふみが修治の妹役でちょっとだけ出ている。自称衣紋掛けだと自嘲するけれど、この人、昔から大好きなので、何となく観ていて一人で照れている。バカみたいだ。

 これも毛色の変わったヤクザ映画だ。東映ではなく、東宝だからこうなるのか。ラストシーンで列車の洗面所の鏡に向かって田中裕子がかすかに微笑む。これこそ夜叉なのだ、と監督は言いたいのだろうか。凄味がある。それにしても田中裕子と高倉健の共演はずいぶん長いこと続いていたのだなあ。

 次は「単騎、千里を走る。」を観る予定。

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コメント

田中裕子、イイですね。
サントリーウイスキー(ダルマだったかな?)のCMに出ている田中裕子が好きでした。

「夜叉」の田中裕子の襟足の色っぽさにはどきどきします。

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