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2014年11月10日 (月)

諸井薫「居酒屋の正論」(東洋経済新報社)

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 本の整理をしていて、そのまま捨てるのがもったいないので、処分する前にもう一度読みたい本を読んだりしている。この本は1993年出版。

 諸井薫はエッセイストとしての名前で、本業は編集者。いろいろな雑誌の創刊に関わり、招かれて「プレジデント」の社長になって大幅に部数を拡大したことで知られる。2001年、肝硬変で死去。

 1993年といえばバブルがはじけて企業がリストラをどんどん進めて世の中がドラスチックに変化していた頃だ。銀座のクラブや高級レストランに閑古鳥が鳴き、亭主族は安い居酒屋に寄るか、自宅で食事することが多くなった。

 いまでは誰でもわかっているけれど、この時代にすでに著者はそもそもバブルの時代が異常な時代だったのだ、ということをいち早く指摘している。

 不況感が漂う中で、人々がさもしくなっていることを歎いている。ゴージャスな生活が出来なくなったからと云って、心まで貧しくなっていく人々に憎まれ口を利いているのだ。

 ダンディな紳士が日々の世相に感じることを自分の言葉で静かに語っていて、この歳になってようやくオトナのおじさん(おじいさんか)になったこちらの気持ちにシンクロする。あの時代にまさに仕事に励んでいたのだなあ。何だか懐かしい。

 ユーザーが繊維産業という斜陽分野だったので、中国や韓国の台頭に直面する世界を目の当たりにしていた。だから人々が願うように、再び日本がバブルのときのようになることはありえないと感じていた。人件費の差が企業の競争力に直接反映する、ということを思い知らされていたからだ。

 政治は細川内閣という非自民政権が誕生した頃である。思えばこれが民主党というアマチュアに政治を任せることになる風潮の先駆けだった。そういえば「さきかけ」という党がこの細川政権の一員だった。

 帯には超辛口エッセイとあるけれど、私にはあたりまえのことをあたりまえに書いているように思える。それがむつかしいのだけれど。

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コメント

本の帯の挿絵が、OKCHANにそっくりですね。相方はさてだれでしょうか?

少正、若干の減量により、いささかスリムになりました。あまり認めてもらえていませんが、本人はスタイルが良くなったつもりでいます。

少正は小生の間違いでした。コメントは訂正できないのが残念。

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