間違いを犯す

少し前に見たので題名を忘れてしまったけれど、人間は嘘と不正をするものであるか、というアメリカの心理学の実験を取り上げた番組があった。
いくつかの実験があるのだけれど、具体的に言うと、まずある数字の計算問題を被験者にやってもらい、その正答数に応じて報酬を払う。それを繰り返して平均的な正答率を調査する。被験者は有名大学の学生たちだ。
そしてこんどは別の被験者に試験結果を見ずに自己採点を自己申告してもらって報酬を払うことにする。その解答用紙は目の前で本人がシュレッダーにかけるので、実際の点数は本人にしか分からない。そうするとなんたることか正答率が飛躍的に上がってしまう。
どう云うことか分かるであろう。人間は嘘や不正が決して露顕しないと分かると不正をするものだ、という結果なのだ。
他にもそれから派生させた実験が行われ、嘘や不正を減らすための方策が提示される。罰則強化よりも不正が露顕しやすいシステムにするほうが効果があるだろう、ということだ。
人間は嘘や不正をするもの、そして間違いを犯すもの、と云うのがアメリカ的な世界観であることがよく分かる。
だから原子力発電所の事故は必ず起こるもの、と云う前提でその対策がとられている。それなら事故が起こった場合の対策は万全になる。
日本のように事故は起こってはならないという前提に立つと、事故が起こることはありえないのだからとして、その対策が不十分になってしまうと言う愚かなことになる。
今回の福島原発事故の結果から、原発の是非を論じているけれど、十分な対策を講じていれば起きなかったはずだ、という論点があまり論じられていない。だからなぜ事故が起きたのかいまだに責任があいまいなままとなっている。
これは戦争に対しても同じだ。先般の戦争についてついにその戦争責任を日本人自らがさばくことが出来ないままに終わってしまったのによく似ている。
ところで、冒頭に述べた実験で、全ての人が不正をしたのか、それとも多くが不正をするけれど、決して不正が露顕しないことが明らかでも不正をしない人がいたのではないか。
それがアメリカ人なら何%、中国人なら何%、日本人なら何%、と調べられたら面白いなあ、と思う。
世の中には露顕する可能性があっても不正をする人がいると同時に、決して露顕しないことが分かっていても不正をしない人がいることを私は信じている。
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