うなり声
妹と妹の娘、義妹(弟の嫁さん)をつれて病院へ母の様子を見に行く。
私たちの顔を見るなり母がうなり声を立てた。それほど大きな声ではないが、間断なくうなり続けている。眉間に皺も寄っている。どこかが痛いのか、気持ちが悪いのかしているのだろうか。なにかを訴えたいのだろうけれど、わからない。入院してから初めてのことである。
担当の医師から経過の説明があった。「胃の出血を止め、輸血をしたのに血中のヘモグロビンの量がなかなか回復しない。他にも出血しているとしか考えられないので、再度内視鏡で検査をした。十二指腸にも出血が見られたのでクリップで留めた。胃の他の部分にも出血しかかっているところが見られた。このような多発性の出血は珍しい症例で、消化器系の出血の1%程度の頻度のものだ。ヘモグロビンの濃度回復のためにさらに輸血をすることにします」とのこと。
むくみはさらにひどくなっている。点滴の栄養を吸収できないでいるからではないかという。
妹の娘(つまり姪)は看護師なので医師の言っていることの意味が即座に理解できているようであった。
あとで、「あまりはっきりと言わない先生なのでわかりにくいけれど、だいぶ難しい状態だと思う」とぽつりと言った。
病室に戻ったが、母はまだうなり続けている。
出血が止まれば良いのだが・・・。
今晩一度名古屋へ帰り、状況を見て来週再度こちらへ引き返すことになりそうだ。容体が悪化するようなら叔父(母の弟)にも連絡しておかなければならない。一度引き揚げるのも、弟の嫁さんをつかの間だけれど休養させるためだ。私が滞在していては休養にならない。とにかく母の様子に一番ショックを受けているのは弟の嫁さんであることは間違いない。
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