中国のせいじゃない?
世界同時株安が上海の株式の大幅下落に端を発していることは誰の目にも明らかなことであろう。だから世界中が今回の世界同時株安は中国発であると報じた。
しかし中国の政府高官は、これは中国が原因の株安ではない、と強弁した。では何が原因か、ということについては何も語らないので却ってただの言い逃れにしか聞こえない。
中国の物流統計値や電力消費量のマイナス数値を見れば、今年の中国経済が急激な減速状態にあることは歴然としている。生産が低下し、生産設備の過剰による生産過剰で在庫が増加しているのだ。海外からの資源購入量も激減している。だから鉄鉱石の価格は暴落し、原油も大幅に下がっているのだ。それなのに中国政府は、GDPは相変わらず7%成長を維持している、と言う。
中国の統計数字に疑わしい点があるとはいままでも言われていたことだけれど、まさか、という思いもあり、違っても誤差程度のことだと皆思いたがっていた。
それに危機となれば政府が大型の財政出動をして何とかするだろう、という期待もあった。
中国経済は実体経済よりも投資で膨らんでいる面が大きかった。その最大のものが不動産投資であったが、不動産価格が高くなりすぎて、一般国民に手が出ない事態となってしまい、日本のように不動産バブルがはじける懸念が大きくなったために、中国政府は強引にそれを冷却するとともに、その投資を株に振り向けるという政策をとった。
今度は株に投資が集中し、たちまち五割以上の高騰を招き、株成金が続出、われもわれもと小金持ちたちはなけなしの資産を株に投資をした。
しかし企業の実態は先に述べたように生産過剰で内容が伴っていない。株価と実態が乖離すればいつかは下落するのは理の当然である。今のところ高騰前にもどっただけで、もとのもくあみと言うところであるが、多くの個人投資家は高くなってから参入しているから皆損をしている。
中国政府は再三財政出動で株価を戻そうとした。しかし一時的に戻しても焼け石に水であった。結果的に戦力の逐次投入をしただけということになった。もしかすると前回リーマンショックのときのような4兆元(当時のレートで50兆円ほど)という大型の財政出動をするだけの金がないのかも知れないし、あの財政出動による副作用の大きさに中国政府は苦しんだのかも知れない。
確かにあのカンフル剤は中国経済をいちはやく復活させ、世界経済の回復にも大きく貢献したけれど、あの金の多くが政府高官たちの懐へ吸い込まれたことも間違いない。シャドーバンクの資金の多くはまさにその金だともいわれる。
中国の経済弥縫策のぼろが露見した。疑わしいだけだったのが、信用できない、という見方に変わった。その結果が今回の株安の原因だろう。
中国政府はとにかく対策をとるだろう。なんとか副作用の小さい方策を考えだすにちがいない。だから中国経済は簡単には崩壊などしないだろう。しかし長期的に見ればしばらくは苦しい時代が続くにちがいない。日本と同じようなデフレ経済の苦しみを苦しむことだろう。
そうなれば最もそれに打撃を受けるのは韓国やドイツだろう。特に韓国はたちまちのうちにデフォルトの危機に陥る恐れさえある。韓国は前回の通貨危機による経済危機の時、IMF管理で苦しんだ。それを救ったのが日本との通貨スワップだった。ウオンを日本円で国際的に信用保証したのだ。
その事実を国内に知らせず、あたかも日本がお節介をしてそれで利益を上げたかのような言い方をした。そして日本との通貨スワップを解消してしまった。
代わりに中国と日本以上の通貨スワップを設定した。では中国不調のとき、韓国の危機を誰が救うのか。韓国がギリシャの二の舞になる恐れもある。それがなんとなく自業自得にしか思えない。これは中国のせいではなく、日本のせい?
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