ドラマ三昧(2)
イギリスドラマ「主任警部 アラン・バンクス」シーズン4 全六回。シリアスな警察ドラマ。
モノトーン調のやや暗い映像と、ほとんど笑わない主人公のバンクス主任警部のキャラクターが大好きである。全三話、それが前後編に別れているので六回の放送。バンクスの両親との関係や職場の部下たちとの関係が事件と同時に描かれていて、人間というものを深く考えさせてくれる。
ほとんど感情を表に表さず、口数も少ないバンクスが、稀に感情を表にだすとき、観ているこちらもびくっとする。激しい思いが伝わるからだ。今回のシリーズでは母が急死し、もともと関係の良くない父親との行き違いがバンクスを激しく苦悩させる。さらにラストでは、ひそかに愛する人に初めて思いのたけをぶちまけたことが、さらに自分と相手を悲しませることになるという悲劇が待っている。
「死の臓器」全五回。
富士山の樹海を取材していたテレビクルーが女性の死体を発見する。一見自殺にしか見えないその死体が、思わぬ大きな事件を背景にしていることが、クルーのリーダーである記者の取材で次第に明らかになる。
腎臓移植、そして臓器売買、その実態が暴かれていくのだが、医療という現場と、患者の要請と、それに対応できない現実。何が正しいか間違っているか、二元論的にはこたえられない究極の世界が描かれていく。
主人公の記者に小泉孝太郎(好演)、同僚に小西真奈美、腎臓移植を次々に手がけ、公的に認知が定まらない手術法を推進する医師に武田鉄矢が扮する。武田鉄矢は絶品。この人本当にうまい。
ドラマは臓器移植や臓器売買がテーマなのだが、同時にマスコミとは何か、マスコミのかかげる正義とは何なのかが鋭く問われている。正義か悪かと言う論法では裁けないことを、正義の名のもとに一方的に断罪する権利がマスコミにあるのか、という問いかけは重要だ。マスコミは事実を報道することを本分にすべきで、正義の味方になってはいけないこともある。
アメリカドラマ「リゾーリ&アイルズ」シーズン5
ボストン市警女刑事ジェイン・リゾーリと主任検屍官モーラ・アイルズのコンビが事件を解決していく。こちらはイギリスドラマと違って、事件は陰惨だが、会話はウィットに富んで軽快。私は特に男っぽいリゾーリが大好きだ。こちらは録画はするが、録りためずにすぐ観ることにしている。面白すぎて待ちきれないのだ。いまは全十八話の第六話まで観たところ。
NHKBS時代劇ドラマ「一路」
浅田次郎原作。この人は読者を面白がらせる天才だ。まったく経験がないのに参勤交代の大役を命じられた若者が、次々に降りかかる難題を解決しながらつとめを果たしていくというストーリー。全九回のうちまだ半分までいっていない。これもそのつど観ている。苦難が若者を成長させる。このような成長ドラマはなんだか自分の背が高くなるようなよろこびを、観ていて味あわせてくれる。
こんな風にドラマを見ていたら映画を観る暇がない。困ったものだ。
« 徳永進「カルテの向こうに」(新潮社) | トップページ | せっせと初期化する »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 『Fukushima 50』(2024.11.21)
- 台詞と声と字幕(2024.11.10)
- 『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』(2024.11.09)
- 『ウエスタン』(2024.11.09)
- 『夜の訪問者』(2024.11.08)
コメント