藤沢周平「義民が駆ける」(中公文庫)
天保義民一揆という、きわめて特異な騒動があったことだけは聞き知っていたが、詳しいことをこの本で初めて知った。藤沢周平の本はずいぶん読んだけれど、長塚節について書いた「白き瓶」とこの「義民が駆ける」だけは未読であった。
羽州庄内藩に、幕府から突如青天の霹靂のような国替えの沙汰がくだされる。そもそもの発端は理不尽なものであるのだが、庄内藩としてそれを表向きに拒否することは不可能だ。藩として手の限りを尽くして裏工作するのだが、国替えの実施が遅れる程度で、覆す望みはほぼない。
そんな中で庄内藩の百姓たちが行動を起こす。幕府の実力者たちや各藩に対して駕籠訴という手法で次々に嘆願が行われる。そのようなことをすれば訴えたものや、それに関わったものが厳罰に処せられることがわかっているのに、なぜ彼らは身を賭してそのようなことをしたのか。そしてその背後で誰が動いたのか。画策したのは誰なのか。
読み始めたらとても面白い。つい先を急いで当時の文章の引用部分を飛ばし読みしてしまった。読み終わってからその辺を読み直した。人間はきっかけを与えると保身よりも激情が優先した行動をとる。それがうねりとなるとすさまじいエネルギーとなり、ついにあり得ないことが起こる。
これこそが革命だ。この物語はある小さな革命の成功談と言って良いだろう。ただし、革命の収束は難しく、そして成功を持続するのも難しい。ジャスミン革命の成功は革命以前よりも人々に不幸をもたらしている。天保の義民一揆という革命は、その希有な成功の例といっていいだろう。
このブログのお蔭で改めて読み返す本があったり
いまさらながら読んで見たりしています
おかあさん 肺が半分白くなって・・・とか
私の母を思い出しました
夜ろくろく寝ないで手を握っていました
やさしい家族に囲まれて幸せなお母さんですね
投稿: イッペイ | 2015年8月 6日 (木) 08時11分
イッペイ様
医師からは回復の望みはないことを告げられています。
いまはただ見守ることしかできません。
私の子ども時代の母のことなどを母の枕もとで、兄弟で話しています。
聞こえているでしょうか。
投稿: OKCHAN | 2015年8月 7日 (金) 19時28分