ちょっとテンション高し
今晩遅く、愛する娘のどん姫が来る。料理をどうしよう、酒をどうしよう、なにを買い出しに行こうか。シーツが少しくたびれてきたから新しいのに取り替えよう。あまり愛想のない娘だが、顔を見ているだけで嬉しいのは親ばかである。
それだけではないけれど、なんとなく気持ちが昂ぶっている。そういうときは読書に集中できない。すぐに関連したことが次々に頭に浮かんできて先へ進めなくなる。
山本七平の「人生について」という本を読んでいる(何冊か並行して読んでいるうちの一冊)。山本七平の父は紀州尾鷲の出身で、内村鑑三の弟子であった。
ここで、尾鷲と言えば先日の熊野行が思い出されてくる。そして、内村鑑三といえば、教会の存在に否定的で、その思想からキルケゴールに敬意を表していた。そういえばCZTさんのキルケゴールに関する文章が突然中断消去されたのはどうしてだろう・・・。キルケゴールといえばデンマーク、デンマークに行きたい。しかし来年はデンマークではなく、フィンランドへ行くことになりそうだ。私がテレビで観て、行くことをいつもの仲間に提案したからだけれど。
山本七平は内村鑑三の言葉をいくつか引用している。そのなかに「批評されるものとなれよ、批評するものとなるなかれ」というのがある。これが頭にしみこんでいるので山本七平は「評論家」という言い方に非常に抵抗感があるというのだ。
「誰かを批評すると、した方がむしろ害を受ける。というのは、なにも業績がないのに相手と対等のような錯覚をもってしまうからである。否、時には相手以上だという錯覚をもち、それでいて内容はカラだという状態に陥りやすい」
なるほど。
そういえば、いま小林秀雄の「考えるヒント」という本も読んでいる。その中で、小林秀雄が夏目漱石論を書こうとして、たまたま目にした江藤淳の夏目漱石論を読み、瞠目したという文章がある。そのとき、まだ江藤淳は学生であった(すごい)。
江藤淳はそのあとライフワークとして「漱石とその時代」という評論を書き続けた。全部で五巻になるが、彼の自死で未完に終わっている。すべて揃えているが、まだ第一巻の途中までしか読んでいない。そもそも夏目漱石を全部読み、さらに読み、してからでないと、この本のすごさはわからない。
批評、評論というのはここまでのレベルでないとできないものだということを考える。
実はもっと妄想は展開し、あちこちから本を引っ張り出したり、地図を取り出したりするので、たちまちあたりに本が散乱する。だから読書はちっとも進まない。
きりがない。さあ、買い出しにでかけるとするか。雨は大丈夫だろうか。
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OKCHANさんの読書量にいつも感心させられています。時々異議あるものの・・・漱石を全部読み・・・ほかの人の評論に目を通し評論の良しあしをブログで発表する・・そんな・ごっつい親父の背中を見て育った娘さん・・・逞しそうですね。二人の酒宴にカンパーいです。
投稿: かすみ風子 | 2015年8月31日 (月) 23時35分
かすみ風子様
私は猫が好きですが、娘は猫みたいにマイペースで生きています。
評論の善し悪しをいうほどの能力はありませんが、評論の態度についてはなんとなく感じることがあります。
いわゆる鼻持ちならないもの、不勉強が見て取れるもの、一方的すぎるものはきらいです。
投稿: OKCHAN | 2015年9月 1日 (火) 10時25分
猫ですか・・・うらやましいです。私はどちらかというと八方美人的な犬ですから。鼻もちと一方的は〃ですが・・・不勉強がみてとれるもの・・・・耳が痛いです。最近頭が休暇中です。
投稿: かすみ風子 | 2015年9月 1日 (火) 11時40分
かすみ風子様
不勉強・・・については自戒の意味も込められています。
私ごときものでも変だと思うようなものは、やはり問題ありということでしょう。
投稿: OKCHAN | 2015年9月 1日 (火) 12時13分
内容が空なのに、相手以上だと錯覚をしている輩は芸術団体にも多いです。
↑・・・紹介される本、ことごとく魅力的な題名ですね。読書力が落ちているので読みたくてもかないません。
投稿: おキヨ | 2015年9月 1日 (火) 12時41分
おキヨ様
読みやすい本、と書いた本は文字通り読むのにあまり負担がかかりません。
私も以前からみると集中力が落ちているので、読みやすい新書が多くなりました。
投稿: OKCHAN | 2015年9月 1日 (火) 14時52分