交替
今晩の付き添いは昨日駆けつけてくれた息子が引き受けてくれたので、布団で休めることになった。手を握ってもほとんど反応のなかった母が、かすかに握り返すようになった。確かに気持ちだけだけれど、持ち直しているのかも知れない。
娘のどん姫は仕事が代わって半年足らずなので、あまり休めない。顔も見せたし、母の顔も見たしするので一度帰した。
母は肌の一部に内出血の紅斑が見られる。どんどんそれが増えている。血小板の量が低下して内出血しやすくなっているので、成分輸血をした。改善は難しいかも知れないけれど、進行は止まるかも知れない。他にもいろいろあちこちがこわれていく様子が見て取れる。いままであまりひどくならなかった褥瘡(とこずれ)が目立つようになった。呼吸は相変わらず肩呼吸。見ている方がくたびれる呼吸だ。
五人入れる病室に一人だけ太ったおばさんが同室している。わがままで看護婦さんを困らせている。寝ていない時は常に何かぶつぶつと言っている。夜中だとあたりに斟酌のないその声が良く響く。とてもイライラする。鼻つまみなのでここに入れられているのかも知れない。ときどき唾を吐く。食事を食べさせる看護婦が気にいらないと、食べたものを吐きかける。こんな普通やらないことをするというのは、精神を病んでいるのかも知れない。
看護婦さんという仕事は本当にたいへんだと思う。そしてその人のわずかな対応がこちらには「いい看護婦さん」に感じられたり「感じの悪い看護婦さん」に思われたりする。相性もあるのだろうけれど。
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