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2015年9月 1日 (火)

山本七平「人生について」(PHP文庫)

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 ベストセラーとなったイザヤ・ベンダサンの「日本人とユダヤ人」という本を出版したのは山本書店。その山本書店の社長が山本七平である。イザヤ・ベンダサンは山本七平その人ではないかとずっといわれ続けていたが、本人は死ぬまで否定し続けた。

 山本七平の全集・全13巻を持っているが、その中の一冊が「日本人とユダヤ人」。もちろんそれだけは著者がI・ベンダサンになっているが。

 この「人生について」という本は、山本七平が読者に対して、人生とはこういうものだ、こう生きなければならない、などとご託宣を垂れている本ではない。自分自身の生い立ちから、自分がその文章を書いている現在まで、つまり自分自身の人生をふりかえって書いたものだ。

 両親が内村鑑三の弟子であり、クリスチャンであったことから、彼もクリスチャンであることが当然として生きてきた。そして招集により、フィリピンへ従軍。大岡昇平の「野火」ほどひどくはないが、それに近い日々を送り、終戦後捕虜としてマニラに収容される。自分でも理由がついに分からないものの、戦犯収容所の一員とされたが、収容所が閉鎖される最後の最後に日本に帰還することができた。

 帰ってからマラリア、結核、胃病で長期にわたり闘病生活を余儀なくされる。

 彼の名著「静かなる細き声」も同様の内容だが、こちらの「人生について」は縮刷版とでもいおうか。

 山本七平は「静かなる人」である。声高になにかを主張したりしない。「空気の研究」「常識の研究」など、日本社会の特質を独自の切り口で淡々と語っていく。その「静かさ」のよってきたるものの原点が彼の人生なのだとわかる本である。

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