古谷経衡「左翼も右翼もウソばかり」(新潮新書)
宮家邦彦氏の著書「日本の敵」でも思ったけれど、表題の付け方がわたしには今ひとつしっくりこない。この本の内容は表題の通りのことが書かかれてはいるのだが、もう少しソフトな題名にできないものだろうか。こういう題名をつけてばかりいると、内容に最初から賛同する人だけが読んで、あらたな読者を獲得するのが難しいだろう。面白い視点から書かれているのにもったいない。
この本は書かれている内容よりも、著者のものの見方が良いのだ。しばしば人は見たいものだけを見るし、知りたいものだけを知ろうとする。この本では「願望」という言葉を使っているが、この視点はわたしも以前からぼんやりと意識していたことなので、いちいち得心がいくことが多かった。
しかし同時に著者自身が自分の論にこだわることでこの「願望」にとらわれている面もないとは言えない。ただ物事の理非曲直の境目に科学と非科学の境界を目安にする、というのはマスコミの偏向や差別や偏見、デマから自らを守るために大事な点である。
取り上げられている話題は数々あるが、主なものとして、「朝日新聞の誤報問題」、「美味しんぼの鼻血騒動」、「安倍政権は戦争をしようとしている」、「若者は右傾化している」、「若者は草食化している」、「中国は滅亡する」など。それぞれがどれほど根拠薄弱な妄説であるかが完膚なきまでに論破されている。
一部「?」の部分があったが、多分誤植か勘違いだろう。
国会議事堂前の市民たちの安保法制反対運動を見て、多くの有識者やそこに集った人々が「かくも多数の反対者がいるのに強行採決した」と憤激していたが、百人に一人の反対者が集まったらたちまち一万人になる道理で、それが国民の大多数である、などと思い込むのはいかがなものであろうか。
わたしの予想では、来年の総選挙でも自民党は大敗北したりしない。
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