歴史はなにを教える?
記者会見で、安保法制反対の国民が多く、国民への説明が足らないのではないかと問われた安倍首相が、反対運動が起きていることなどを認めた上で「世界の多くの国で(安保法制に)賛意が示されている。戦争法案などとレッテルを貼るのは誤解である」と答えていた。
海外ニュースなどを見ていると、確かに日本が安保法制を採決したことに対して反対をとなえていたのは、中国と北朝鮮と韓国メディアだけで、これらはレッテル貼りの好きな国だ。
「日本が戦争のできる国になって、あしたにも攻めてくる」という言い方は、議事堂前でアジテーションをしている人々の言葉とそっくりなことに驚かされる。
中国のネットで、ドイツが日本の安保法制制定を歓迎していると伝えられたことに対して多くのコメントが寄せられているという。「ドイツもついにしっぽを出した」「かつての戦友だから当然だ」「ドイツも日本と同じだ」「難民圧力でドイツも右傾化している」などとドイツを非難しているようだ。
中国では、たまたまドイツが賛意を示したことが伝えられたのだろう。日本と関係の深い国の多くが賛意を示していることは中国の人たちに知らされているとは思えないし、伝えられているのは日本の反対運動ばかりなのだろう。
中国の南シナ海や東シナ海での行動が、満州事変前後の日本に酷似していることを当時の歴史を知る人は感じている。あのような軍部の暴走を許して追認した日本に対し、世界はこれをナチスドイツの強勢化とともに危険視した。
中国は、日本に「歴史に学べ」といいながら、当時の日本と同じような行動をとっている。そしてロシアはクリミア半島の侵略統治を強行し、ウクライナに干渉している。ヨーロッパにとってナチスドイツの悪夢に見えているのではないか。
オバマ大統領と習近平主席の会談後の記者会見を見て、その感を深くした。オバマ大統領の弱腰とも見える中国への対応が習近平中国を勘違いさせてきたと思っているけれど、それを是正する機会だったのにどうも歯がゆい。中国は多少は風当たりの強さを感じることができたのだろうか。
ナチスドイツのオーストリア併合やチェコスロバキアのズデーデン地方占領などに対し、イギリスやフランスはミュンヘン会談で妥協した。このときのイギリス首相・チェンバレンの融和策がヨーロッパにどれほどの惨禍をもたらしたか。オバマにチェンバレンを重ねて見るひとは多いのではないか。
危機に備える、そのことを暴走につなげないためには歴史に学ぶ必要があることは間違いない。しかし羮に懲りて膾を吹く、とばかりに危機に備えることまで否定することは、却って相手の暴走を増長させることを歴史は教えている。
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