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2015年9月22日 (火)

宮家邦彦「日本の敵」(文春新書)

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 副題「よみがえる民族主義に備えよ」。

 表題はやや強すぎるので誤解されるかも知れない。この本で著者が訴えたい世界観は副題の方にある。

 最初に、著者の世界観をベースにして19世紀以来の世界の歴史の流れを記述していく。すでによく知っている歴史的な事柄の意味が、(別に変形を受けていないのに)新しい見え方で見えてくるのは驚くほどだ。

 たびたび書いているからまたかと言われそうだが、いままで知らなかった視点を教わることこそこういう本を読むわたしのよろこびである。それのない本(ここでは新書版の人文や社会に関する本のことに限定している)は残念ながらあまり評価できない。

 戦後の米ソ冷戦時代の意味、そしてそのあとのベルリンの壁崩壊からソビエト連邦の崩壊、そしてポスト冷戦時代の意味、それがもたらしているものが、民主主義の普遍化ではなく、民族主義の台頭であることの危惧が丁寧に説明されている。なぜジャスミン革命が民主化ではなく、こんな混乱した世界をもたらしたのか。

 そして中国についてネットアセスメント(総合戦略評価・詳細は本を読んで欲しい)という手法で解析していく。いままでどういう国であったか、なにを目指そうとしているのか、国の実情はどうなのか、これからどうなっていくのか。もちろん未知数が多いから解答は一つではない。そもそもネットアセスメントが求めるものは正しい答えではなく、正しい質問である。

 正しい質問は無意味な質問を排除する。正しい質問に対する答えを必死で考えること、そのことの中になにをなすべきかの答えがある。状況は時々刻々と変わるから質問も答えも変化する。

 ネットアセスメントの手法について、具体的な部分は高度な知性の働きを必要とするので、わたしはただその結果の部分を見て、なるほど、と感心していた。書かれているのは難民問題やIS、ロシアや中国など、世界全般であり、たいへん勉強になった。

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