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2015年10月 3日 (土)

岩波明「他人を非難ばかりしている人たち」(幻冬舎新書)

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 水に落ちた犬をたたけ、という。何らかの形で名前が知られた人が、失言をしたことでとことんバッシングを受ける姿を目にすることは多い。たとえばみのもんた氏の息子が他人名義のカードを使ったことから、彼がマスコミの寵児からたたき落とされたことなどが思い出される。

 失言ばかりではない。人は誰かをおだて上げながら、鵜の目鷹の目でそのミスを暴き立て、たたき落とす。名前が知られていることは同時にその罠にはまる恐れがある立場に立ったと云うことでもある。

 それが有名人が対象であったときは、まだ有名税みたいなものだと思うこともできたけれど、いまは万人がいつそのターゲットにされるかわからない恐ろしい時代になりつつある。

 精神科の教授である著者は、それをある人々の心のゆがみであると指摘し、そこにネットの匿名性という特性が大きく関わっていると示唆する。これは日本人の特殊性に関わるところもあるとも指摘する。

 わたしも匿名性は大きな問題だと思っている。電話での勧誘や詐欺はその匿名性を大いに利用している。それはネットも同様である。自分も防衛のために匿名でネットを利用する。それでも迷惑メールはすり抜けて殺到してくる。

 他罰的な人々がこの世をゆがめていることはこの本で指摘しているとおりなのだが、ではそんな人ばかりの世の中になってしまっただろうか。私はそうは思わない。そんな歪んだ人は一握りに過ぎないと確信している。
 
 問題は、そんな歪んだ一部の人があたかも多数であると錯覚されること、力を持ってしまうことである。あいつはおかしい、とみんなが思うことである。ひとりよがりの裸の王様は笑うべきなのである。

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コメント

何か自分のことのようです
ぜひ 読んでみようと思います

そうですね。。
 匿名で批判するのって卑怯だと思います。

怖いですね。。

イッペイ様
それほど読後感のいい本ではありませんが、世の中の風潮を少し深く掘り下げてくれています。

藤子様
自分の身を匿名で護る必要があることが多い時代ですから、匿名は一概に悪いとは思いません。
しかし匿名に隠れて無責任に他人を攻撃するのは卑怯です。
なんだか防衛の話みたいですね。

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