乱れまなこの勝手読み(10)
韓国訪問委員会(こんな委員会があるのだ!)は案内所を訪れた外国人観光客にアンケートを実施した。それによると、92%が「韓国(ソウル)観光に満足している」と答え、91%が「また訪問したい」と回答したそうだ。しばしば韓国旅行で不愉快だったというニュースを中国のネットなどで見聞きしていたので意外だが、本当ならめでたい。
多分中国の団体観光客などはその案内所を訪れることはないのだろう。中国の団体観光客は安い料金で行くから、料理やあしらいは悪いはずだし、旅行会社やガイドは、元を取るために土産物屋などにむりやり連れて行くようだから、不満も出るのだろう。
それに現地にいるときには皆その国を好きになろうと思って訪問しているから好意的だけれど、帰って冷静になるといろいろ不満も湧いてくるから印象も変わる。わたしも多少そういうところがあった。
在日韓国人の小説家・金石範氏の訪韓申請を韓国政府が拒否した。金石範氏は両親が済州島の出身で、大阪で生まれた。戦時中は済州島に住んでいて、戦後再び日本に戻っている。「火山島」という大作を世に出し、世界平和や人権問題に寄与したとして「第一回済州4・3平和賞」を受賞している。
ただ、金石範氏は韓国籍ではなく朝鮮籍のため、韓国政府の証明書を発給してもらわないと入国できない。済州島出身者にはこういう人は多い。彼の反国家的な発言が問題視されたのが拒否の理由だろうと報じられた。耳にいたいこと、事実を述べると韓国では自国に帰ることもできないらしい。
2005年に韓国に在住していた日本人は3万9410人、今年8月現在は3万7865人だという。あまり変わっていないようだが、実は最近では2005年が一番少なかった年で、2008年~2013年まではずっと5万人以上だったのだ。減り方が著しい。
理由はどうあれ、韓国の居心地が悪くなっていることの表れではないか。
朝鮮日報のあるコラムが紹介されていた。米国は日本を偏愛している、という。戦後、韓国はアメリカからの援助を受けた(日本から受けたことは書いていない)けれど、その援助で日本の物資を買い続けたと当時の政府を非難している。韓国の遅れた技術をそのとき援助の金で向上していれば今頃こんなに差がつかなかった、といいたいらしい。そして日本は韓国のお陰で豊かになったと言いたげである。
そんな面もないとは言えない。ただこのコラムは韓国のものにしては珍しく、韓国自身がそのような努力を怠ったことを指摘している。単純に何もかも日本が悪いといっていないのは驚くべきことだ。
ただ、アメリカが日本を偏愛している、というのはずいぶんセンチメンタルな見方だ。日本の方がアメリカに都合が良いような行き方をしていて、韓国が中国にすり寄るなどして、アメリカは手放しで韓国を信頼しきれないだけのことだ。アメリカは日本など愛していない。愛しているのは自国だけだ。それはどこの国でも国民でも同じだ。
韓国で35週連続一位のベストセラーの新記録を打ち立てた本の名前「嫌われる勇気」アルフレッド・アドラー(心理学者)箸。なんだか象徴的。
元アメリカ国家情報長官が、日韓の確執の原因を問われ、「一方が謝罪したらもう一方は受け入れなければならない。和解は双方でするもので、どちらがより間違っているかと聞かれても答えられるものではない」と当たり前のことを言った。
これを韓国メディアやネットでは、親日派の人物が口を挟んだ、火に油を注ぐな、日本から金をもらっているのだろう、こんなことを言うアメリカは日本より憎い、と非難囂々である。
こりゃ、どもならんわ。
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