取り返しがつかない
小人閑居して不善を為す、という。不善を為してはいないが、閑居している。突然思い立ってネガフィルムのデジタルスキャンをはじめた。しばらく前に半分ほどスキャンしたのだが、時間がかかるので半分ほどで飽きてしまい、そのまま放置していた。
社内旅行の写真が山ほどある。たいてい写真班を自認していたので撮りまくっていたのだ。そういう写真は残しておいても仕方がないが、捨てるのもなんだか惜しい。そこで低画質で取り込み(それならそれほど時間がかからない)、ネガは捨てることにした。
中には高画質で残しておきたい写真もあるが、そういうのに限ってネガに異常がある。すべて水洗不足による黄変やハイポの結晶析出だ。こうなったら救えない。古いものでも問題ないものが多いのに特定のネガに集中している。それも一つや二つではなくたくさんある。そのときにフィルムを現像したDP屋の手抜きが原因である。
大事なものを取り返しがつかないようにしてくれたDP屋はとうにつぶれているだろう。文句の言いようもない。怒りに胃がキリキリするがどうにもならないからあきらめるしかない。
DP屋は価格競争で狂奔し、手抜きをしてコストダウンし、結局自滅した。これはデジタルカメラが良くなった面もあるけれど、こうして手抜きのいい加減なことを続けたDP屋が結局デジタルカメラの隆盛を呼び込んだのだ。
日本酒は美味しいのに需要が低下した。本当に美味しい日本酒を造ることを忘れた醸造家が、日本人の日本酒離れをもたらした面がある。
世の中から左官屋の仕事が減少している。これも組合組織にして、丁寧な仕事をする職人と、修行もあまりせずに独立した若いいい加減な職人の仕事を同一工賃にしたことで、材料費をけちり、しかも雑な仕事が横行したこと、そして工事のあとの片付けがいい加減だから、現場が汚れることなどが嫌われたのだ。もちろん壁は薄いからすぐひび割れる。町を走る左官職のトラックの汚さに気がつく人も多いだろう。多分仕事の丁寧な職人は道具はもちろんトラックもきれいに手入れするはずだ。
どんな仕事も手抜きをすれば皆から見放される。うう、フィルムスキャンの話からどんどん離れてしまった。
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