仁木英之「恋せよ魂魄」(新潮社)
「僕僕先生」シリーズ第九弾。怠け者ではあるが素直さが取り柄の王弁が、可愛い少女姿の仙人「僕僕先生」と不思議な旅を重ねながら成長していくというこのシリーズは、ドラゴンボールの物語に似ているところがある。どんどん登場人物の怪異さ強さがレベルアップしていき、それに合わせて主人公もレベルアップしていくのだ。それなら別にドラゴンボールに限る話ではないか。
最近は回を追うごとに一緒に旅をする顔ぶれが少しずつ替わる。なじんだ人と別れるのは寂しいが、今回も最後に大きな別れがある。しかもその伏線のように、王弁が助けようとした不治の病のタシという名の少女の物語が挿入されている。
そして最後のクライマックスは宿敵胡蝶の頭目、貂も登場する。仙人や神様が当たり前に登場するところはやはりドラゴンボールだ。
こんな面白い物語、読まないのは損である。
このブログを見直したが、これでは何のことかわからないかも知れないので補足する。中国の唐の時代が舞台のファンタジー小説で、玄宗皇帝もちらりと登場するし、別の名前で登場していた人物が後のあの安禄山だったことも判明する。
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